第二十一話・・・反論と正論
電車を乗り継ぎ、とある電車の中。
その可愛らしい姿はいつまで見ていても飽きない程だ。しかし、急に振っていた足を止め、俯く。その行動を不思議に思い、頭上に疑問符を浮かべながら質問を繰り出す。
「どうした?」
「ううん、なんでもないよ」
なんでもない。と言っておきながら、何かありそうに地面を見つめる舞。特段
「お兄ちゃん、舞は怒らないからさ、何があったのか教えて?」
「......うん、わかった。今日、本当はね......えんそくがあったの」
「遠足?」
「え~と、じどうこうえん? ていうところにいくんだって」
そんな話聞いたことがない。そもそもとして、その話を亜依さんが知っているのか。
「それは亜依さんには言った?」
「うん、いったよ、そしたらね、おべんとうつくってくれるっていってたの」
「......そっか」
なぜ、そんな重要な話を俺にしなかったのか、俺は問い詰めるために、ポケットの中からスマホを取り出して、メッセージアプリを起動し、亜依さんとのメッセージ欄を表示させる。
(諒)『今日、舞の遠足があったって本当ですか?』
すると、すぐに既読マークが付き、返信がやってくる。
(亜依)『ええ、まあそう』
(諒)『何してるんですか! なんで舞を遠足に行かせないんですか!』
(亜依)『私も行かせたかったよ。でも遠足先でもし何かがあったら、とか舞が家に帰ったら一人で危ないよねって考えたら、普通行かせらんないよ』
(亜依)『舞には本当に迷惑を掛けちゃった。絶対に行きたかったと思うからさ、諒ちゃんが今は楽しませてあげて』
(諒)『んなこと言われても、俺には舞の事を楽しませることができると思います?』
(亜依)『できなくてもやるの、それが諒ちゃんが決めたことでしょう? それに諒ちゃんじゃないとだめだから』
(諒)『は? それってどういう意味ですか?』
俺からのメッセージを最後に亜依さんからの返信は途絶えた。最後の言葉はどんな意味なのか、全く分からない。しかし、そんなことを考えるよりも今は目先のことについてどうにかすべきだ。
そのため、舞のことを見ながらどんなことをすれば楽しんでくれるのか、考える。すると、舞はいきなり俺の方へ顔を向けると満面の笑みを浮かべて。
「おにーちゃん、おなかへった!」
「............そっか、じゃあ次の駅で電車を降りて、何か食べるか!」
「うん!」
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