第十四話・・・お叱り
自宅に着き意外にも夜が遅かったので静かにドアを開ける。そしてドアの隙間から家の中を見てみると......
「うげ......」
「うげじゃないでしょ、うげじゃ」
「いやだってそんな険しい顔をしながら玄関を暗くして正座で座ってたらさすがに怖いですよ」
「でもこんな夜遅くまで連絡なしの方がこっちとしては怖いんだけど?」
「うっそれは、その、すいません......」
「だからさ、次からは一つぐらい連絡入れて頂戴?」
「わ、分かりました」
「よし、それでいい。あ、そだ、夜ご飯って食べた?」
「は、はい、食べました」
「そっかならお風呂入ってきて」
まだ少し怒っていたようにも見えたが何とか
脱衣所にはもう既に俺の寝間着が用意されており、一旦自室へ戻らなくて済むようになっていた。
しかしここまで怒っていた亜依さんを見るのは久しぶりだった。普段は温厚で冗談を言う亜依さんとのギャップもあってか大分恐怖を感じた。
俺が何も連絡を入れずに霧島宅へ赴き、夜遅くに帰ってくれば心配になって怒るのは分かる。当たり前だと分かっているのだがやはり思春期だからなのか「そんなに怒らなくてもいいのでは?」と思ってしまう部分がある。
「......あの時も俺たちを心配してくれたんだろうな」
以前亜依さんが初めて怒りを露にしていた時のことを思い出す。その時の怒りの矛先は俺や妹の
それからは特に怒らせることなく、たまに舞が叱責を受けていたがそれも全力という訳ではなかった。
そんなことを考えながら風呂に入り、手短に体を上から下まで洗うとすぐに風呂場から退室し、体を乾かして服を着る。
恐らくまだ少し怒っているとは思うがなるべく気にしないようにしよう。その方が亜依さんにとってもいいだろうから。
そう思うと脱衣所の扉を開けて亜依さんが居るであろうリビングへと足を向ける。
「亜依さん、上がりまし、た......亜依さん? どうしました?」
「え? ああ、いや別に、なんでもない」
「いや、亜依さんがそんな表情するなんて珍しいなと思いまして......俺の事でそうなってるんでしたらすいません、心配をかけて。次からはちゃんと連絡しますし、なるべく早く帰れるようにしますから」
「いや
「俺にも関係するなら話してくださいよ」
「......分かった。諒ちゃんには話す。だけど舞にはまだ秘密でお願い」
「分かりました、約束します」
口約束だが俺は口が堅いことには自信がある。それにそのことについては亜依さんも知っている。そのため亜依さんは話してくれるらしいのだが、ここまで切羽詰まったような表情をする亜依さんを見るのは初めてに近いと思う。俺の記憶の中にあって思い出せないだけかもしれないが。
「実はね......」
「親が私たちに会いたいって」
そんな予想だにしなかったことを告げる亜依さんに俺は少しの間何も動くことができなかった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます