第九話・・・『打倒! 黒見虚討伐隊!』
「その組織は元々自衛隊員だった人だったり、日常に飽きた人たちで構成される組織らしい......あとはここの元学生だったりな」
「は、はあ......でもその殺し屋組織が今回の出来事になんの関係が?」
ぎこちなく返事をしながら首を傾げると、
「今回の喜入の失踪だが、その
「はあ、それってそいつらって俺と関係あります?」
「ん~~まあどこからの情報かは分からんが、お前が首謀者だって情報が入ってな」
「いや俺が何をしたっていうんですか......って言っても俺がやってるやってないの証拠がないですよね」
「まあそうなんだけどよ、もし本当に首謀者だった時に大変だから一応話を聞いておこうと」
「さっきも言ったじゃないですか何も知らないって、それに黒見虚なんて初めて聞きましたし」
めんどくさそうに井白が言うことに返答をすると井白は頷きながら視線を俺から外し、校長に向けると小さく人差し指で校長を指す。
それに気づいたのか、校長はビクッと体を跳ねさせて首を傾げながら井白に視線を飛ばし、視線を交差させる。
「ん? なんだ?」
「あのおっさんに今朝言われてよ、俺もよく知らねぇんだよ」
「てっめ! 今おっさんって言ったな!?」
「あ? 実際そうなんだから問題ねぇだろ!」
怒号を飛ばし合う二人の中年男性を落ち着けさせるべく、茶立場が二人に駆け寄って「まあまあ」と言って宥める。
しかし、校長はおっさんと言われたのが相当頭に来たのか、それとも認めたくないのかさらに声を荒げて井白を怒鳴りつける。
ここにいても仕方がないと思って席を立ち上がったが、そこで怒号を飛ばし合っている井白から言葉が飛んでくる。
「キミ! どうせ今戻ったって変な目で見られるだけだって!」
「っなんで分かるんです?」
「え? だって麻美が————」
「おっけおっけ、口を閉じろ。せんぱいこのクソ教師が知ってるのは私がどうにかして情報共有したってことにしておいてください」
茶立場は井白の口を手で抑えながらよく分からないことを言ってくるが、これ以上追及してしまうと危険と勝手に脳が思い込んでこれ以上追及することはなかった。
だが次の瞬間、茶立場が声を大きくし、校長に言葉を浴びせる。
「さっきからうるせぇ! 今はどうだっていい! 一旦校長は応接室で頭冷やしてこい!」
「ひっ......分かったよ、行けばいいんだろ行けば!」
普段温厚で真面目(?)な茶立場が声を荒げ、怒号が飛んできたことに驚いたのか、校長は茶立場の言われるがままに応接室へと逃げて行く。
「......どうぞ本題へ」
「......あれでもクラスでは真面目でリーダー的存在なんだけど......怖いだろ」
「まあ、普段からの違いで見ればそう捉えれますね」
パンパンと手に付着した埃を飛ばすかのように手を叩くと井白に向かって本題に入るよう促す。そう茶立場に促された井白は「では」と一息ついて口を開く。
「本題なんだけど......
「へ?」
「とぅおりゃっ! 何を言ってんだこの野郎!」
「実際そう思ってるだろ?」
「そうだけど......ってちっが~~~~~う!!!!!!!!!! もう、早く本当の本題に入って!」
井白の口から出てきた予想外の言葉に一瞬頭がキャパオーバーしたものの、数十秒後なんとか脳が考えることを放棄したことで目の前にいる井白の顔が少し赤みを帯び、少し腫れているのが目に入る。
そんなことを気にしていないのか、茶立場に本題へ入るよう促された井白はさっきとは打って変わった真剣な眼差しで俺を見つめ、重そうな口を開く。
「ガチのマジのもう一つの本題なんだが、九十三くん。これから一時的に結成される『打倒! 黒見虚討伐隊!』に入ってくれないか?」
「......すいません。もう一回名前を聞いても?」
「仕方ないなあ...コホン、『打倒! 黒見虚討伐隊!』に入ってくれないか?」
自分の耳を疑い、もう一度聞くと、聞き間違いではなかったらしい。それにしてもダサすぎないだろうか、もう少し良い名前がある気がするんだが。
そんなことを考えていても仕方がないと考えることをやめ、もう一度井白が口にした言葉を思い出す。
「......黒見虚を倒すチームに入ってくれと?」
「ああ、キミにならあそこに馴染めると思ってな」
「......俺にならってどんな変人がいるんですか......」
呆れながら井白の話を聞く。それから話を聞き、そこに質問をする。そんな感じでいつのチャイムなのか分からないチャイムが校長室になってすぐ俺は渋々井白の話に首を縦に振るのだった。
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