第41話 ご当地ナンバー地図を作ってみた。
レポートも書いてみればそこそこの文量になり、あとは葉月先輩なんかが可愛らしい図解をつけてくれるということで、僕の役目は終了。
──と、思っていたのだが。
「部長、熊谷は埼玉です! なんで九州に貼ってるんですか!」
「ぬあっ、熊本と見間違えた!」
「愛知県多い……」
「いわきって岩手だっけ、福島だっけ」
「福島です!」
どうやらもう一つの企画、「ナンバープレート日本地図は難航しているようだった。取り仕切る翔太先輩は資料を見合せながら先輩たちに指示を出し、あたふたとしていた。
何があれだって、音無部長が今見ただけで四回も凡ミスをしている。大丈夫だろうか。
「手伝います」
「ありがとうございます。桜坂先輩は、地図の図面に合わせて、指定の色の画用紙を切ってください」
どうやら地方ごとで色分けをするらしい。更には都道府県だけではなく、ご当地ナンバーの地域ごとに切り分けるつもりらしく、これがなかなか難しい作業だった。カンガルーっぽいことで有名な愛知県は八つに刻まれ、もうカンガルーの面影がない。
やってみるとなかなか本格的なもので、該当箇所から線を伸ばしてご当地ナンバーを貼るという方式を採っている。僕は切り分けた紙に線で繋ぐときわかりやすいよう、ナンバープレートごとの地名を書いた。東京のとか細かくて面倒だったが。
日本地図を刻んでいて思ったのだが、僕が想像していた以上にご当地ナンバーというのは存在する。県外に出たことがないという翔太先輩は都道府県ご当地ナンバーをコンプリートしたわけではないだろうが、それでも凄まじい量だ。
そして以前にも話したと思うが、ご当地ナンバー地図を作るにあたっては、各地名が何県のどこにあるのかを把握しなければならない。地理の知識が必要となるのだ。
少し前より頭がよくなったかもしれないな、と思いながら、今度は切ったものを貼り付けていく。場所を間違えないようにしながら合わせていくと、まるで日本地図を組み立てているような気分になった。そういえばこういうパズルあったよな。昔は小難しいイメージがあってやらなかったのを、まさか今こんな形でやるとは。
やってみると面白いものだから、今度やってみよう。確か学の家に件のパズルがあったはずだ。
僕が貼り終わる頃には、音無部長がぐったりしていた。地理が苦手なのと、凡ミスをあれからも出し続けたらしいのとで、だいぶへとへとになったらしい。一県に何個もあるご当地ナンバーがあるから、それによって配置が微調整されているのもある。大まかな配置は下書きで翔太先輩が書いてくれたが、全くその通りにやるのは大変な作業だろう。それを思うと、僕には楽な仕事を回してくれたのかもしれない。
「取りこぼしのナンバーないか確認しますよ!」
もはやお馴染みとなったナンバープレート写真のアルバムを片手に、翔太先輩が確認をし、ナンバープレートと地図を結ぶ線の下書きを慎重に進めていく。その上、置き忘れているご当地ナンバーがないかも確かめているのだから、一番骨の折れる作業だろう。
入部当初は予想だにしなかった先輩方の部活動への熱がここに来て露になった。
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