第32話 二輪車ナンバー
沢の駐車場を散策すると、中にはバイクもあった。バイクというか、スクーターだろうか。
「あ、ピンクだ」
何の話かというと、当然ながらにナンバープレートの話である。
そう、見つけたバイクについているナンバープレートはピンク色をしていた。白いのも時々あるが。
「確かガソリン入れられる量とかで決まってるんですよ」
学が言う。免許が大きさにより分かれるのは知っていたが、まさかナンバープレートもだとは。
っていうかなんでそんなこと知ってるんだ。
「バイク乗りたいからね。やっぱり男のロマンっていうか?」
「否定はしないけど」
学、君は男のロマンとか語る口だったか。
それはさておき、バイクの中でも小型のもののナンバープレートはピンクであることがあるらしい。ちなみにそれは特殊車両にも言えることで、稀に田園地帯の付近で見かける小型トラクターもピンクのがつくとかつかないとか。
「わあ、車のナンバープレートもいいですけど、バイクもいいですねぇ」
誰のものとも知れぬバイクのナンバープレートを撫でながら、翔太先輩が感慨深そうに呟く。その心はというと、まあ、翔太先輩がご当地ナンバーコレクターだからだろう。
バイクのナンバープレートというのは各市区町村から出されるようで、車ではご当地ナンバーがないに等しい宮城県でも、石巻市やら栗原市やらを見ることができる。
その上、地方によっては形なども工夫されているようで、正直いまいちぴんと来ないが、米の形をしたナンバープレートをつけているやつもいる。楕円形の一部が欠けているという形だったのだが、米と理解するまで少々時間を食った。
後から調べたことだが、他にもこんな感じで形の違うナンバープレートがあったりするらしい。見てみたい気もする。
さて、写真をばしゃばしゃ撮るのをそろそろ止めなくては。遠巻きにバイクの持ち主らしき人が困り顔でこちらを見ている。
カメラではなく水をばしゃばしゃしに行きましょう。
と、説得するのに滅茶苦茶時間がかかった。
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