第28話 自転車通学の日常

 僕は時たま自転車で登校するため、自転車に学校指定のステッカーを貼っている。

 ちなみにバイク通学の人も許可を得てナンバープレートと並べてもう一つプレート的なやつをつけなければならないらしい。僕はそれを見て、面倒そうだからバイク通学はすまいと心に決めた。

 さて、自転車の話に戻るが、ステッカーには四桁の数字がついている。つまりはナンバープレート代わりみたいなものだ。

 何故こんな話をするかというと、

「あーっ!! なんでここまでちゃんと数字順に揃ってたのにいきなり番号が300も飛ぶんですかぁっ!!」

 そんなことでぶうたれる、困った男の娘先輩がいたからだった。

 僕と翔太先輩、そして部活に珍しく顔を出した葉月先輩の三人は、只今駐輪場を回っている。理由は簡単。ごみ拾いである。

 ナンプレ部な僕らだが、これが部活に何の関係があるかというと、その実、何も関係はない。ただ、ナンプレ部はこれまでボランティアで学校の敷地内のごみ拾い活動をしていたそうだ。ナンバープレートに取り憑かれた変人の集いだと思っていたが、意外とまともなこともやっている。もしかしたらこれがナンプレ部が存続している理由なのかもしれない。

 ただ、

「……確かに数字がここまで綺麗に並んでいたのにいきなり外すとかないと思います」

「だよねー、葉月ちゃんわかるぅ」

「そういう問題ですか」

 この人たち、ナンバープレートに着目するだけあって、身の周りの数字への関心は高いらしい。

「っていうか、別に停めるところは決まっていないんですから自由でいいじゃないですか」

「ナンバーコレクターたるもの、数字の羅列に気を留めずになんとしますか! むず痒いのでここの間の番号探しましょう、センパイ」

 先輩は貴方です、翔太先輩。

「というかごみ拾いはどうするんですか」

「もちろん、やりながらだよ」

 ご立派で。

「というか、ないかもしれませんよ」

 僕はふと一つの可能性を提示する。

 自転車ステッカーというのは、自転車通学する者に限って配られるものだ。そしてどうやら、自転車通学するしないに拘わらず、番号は個人ごとに定められているらしい。例えば、一年生のときは自転車通学しないが、進級してから自転車を使うようになった場合などにスムーズに受け渡しが済むようにする処置なのだとか。

「えー、そんな夢のない」

「たまには現実見てください」

「あ、ごみ」

 こうして放課後が浪費されていく。


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