第22話 ナンプレ部だって部活です

 霞月先輩から発せられた言葉。聞き間違えでなければ彼は「文化祭」と言った。


「ちょっと待ってくださいこの部活文化祭出てるんですか!?」


 図書館にあるまじき大声で突っ込んでしまい、大変お怒りの本の虫サマに頭を机に叩きつけられました。ごめんなさい痛い。

 そんな僕に苦笑を返すと霞月先輩は言った。

「だって文化部だもん」

 まるで至極当然のように。




 いや、確かに運動してませんから文化部には違いないでしょうけどね!?

 こう、なんか普通の文化部とは一線を画した部活というか、え、当たり前のように存在して当たり前のように文化祭に参加するのが不思議でならないというか。

「失礼な。ちゃんと部活動しているぞ? でなきゃ廃部だ」

 音無部長が言う。ごもっともだ。しかし、どこか受け入れられない事実があるというか。

 ……というかよく考えるとすごいな。ナンバープレートの研究っていうよくわからない部門で生き残っているのだから。それ以前のナンバープレースの時代もすごいっちゃすごいけど。


「ナンバープレースの時代はナンバープレースを何種類か作って、簡単、普通、難しい、くらいでチャレンジしてもらって、解けたら景品というシステムでやってたみたいだよ」

 それは楽しそうだ。是非参加したかった。

「それで、今は……?」

 恐る恐る訊くと、霞月先輩は淡々と答える。

「ナンバープレートに対してあらゆる観点から見た見解をレポートにまとめて展示してるよ。評判かどうかはさておき、それっぽい文章になってるから、先生からの評価は悪くないかな」

 いやいや評判をさておかないでください。あ、でも先生からは認められているんですね。ちょっと意外。

「ナンバープレートで論文は燃えるだろ。何なら大学入ってから書いてもいい題材だ」

「いや、それはもっと色々あるでしょう」

 というかこの人大学行って大丈夫なの……?

 まあ、春校にいるんだから頭はいいんだろうけど……

「ということで、文化祭の題材は決まりだな」

「そんなんでいいんですか!?」

 絶叫すると、二度目の頭がつんを食らいました。怒らないで学くん、不可抗力だから。




 そんなこんなで解散となった。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る