第13話 慌てない慌てない、一休み一休み。けれどナンプレ部の面々が僕と学にそれを許してくれません
先生が撃沈した。あのキングオブ親バカといっても過言ではない飯塚俊則先生が!!
「か、神だ……」
「
部長と翔太先輩は信じられないものを見たというように学を凝視している。僕も似たような目をしていたにちがいない。
三対の目に注視されまくっている当事者、学はこの場で最も戸惑っていた。何が起こったのかわからないのだろう。蹲る飯塚先生に「大丈夫ですか?」と心配そうに声をかける。そんな先生は無反応。目の焦点は合っていない。漫画の瓦礫で組み立てたような書体の"ガーン"という文字が幻視できるほど。白黒にすら見える。
学の指摘は正論だった。ナンバープレートにおいてつけられないひらがなはある。五十音は残念ながら達成不可能なのだ。
ナンプレ部ともあろうものが、ナンバーに熱くなりすぎて全く気づかなかった……って、僕はナンバープレートの方じゃないから! プレースの方ね、プレースの方。
まだ戸惑いの最中にある学にお構い無しで手を握る先輩二人。
「神だ、神だ! あの難攻不落の親バカラスボスと謳われ早四年、親バカに磨きしかかかっていないあの飯塚俊則教諭をたった一言で撃破するとは」
「
二人の美少女(一人♂)に手を握られ、あたふたする学。そこ、リア充爆発とか思わないように。僕の親友だぞ。
「……男の娘に"お兄さま"なんて呼ばれたらキュン死する……!」
「学!?」
大丈夫だろうか? 学は卒倒しそうだ。色々な意味で。
まあ、翔太先輩は見た目本当に美少女だし、音無部長も絵に描いたような大和撫子。ラノベの主人公並の状況だな。
予想の斜め上を行くナンプレオタクでなければ、僕も楽しめるんだけどね……
そこへ
「ん、あっアニキ!!」
聞き覚えのあるハスキーボイス。
「ああ、篠原先輩」
スポーツ刈りのボーイッシュを通り越して普通に男子にしか見えないナンプレ部の性別錯誤部員、篠原和子先輩だ。
カジュアルなジーパンに有名スポーツ用品メーカーのロゴが小さく入ったシンプルな黒い長袖Tシャツ。飾り気のない格好が篠原先輩の[ボーイッシュ]な格好よさを引き立てている。
「こ、こんにちは。ねぇ、純也、この人も部活の先輩? 美少女にスポーツ系イケメンと純也のとこは盛りだくさんだね」
うん、僕もお腹いっぱい♪
「学、お察しのとおりこの人はナンプレ部の三年生篠原和子先輩。自他共に認めるトラック野郎だよ」
「星宮学です。ええと、篠原和子せ……かず、こ……」
学の頭がパンクしたのは言うまでもない。
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