211話、禁足地三層


95日目、夜。

昼に買った物のリストアップをレティにまかせ、ヒナとムサシの帰りを待ってから、また禁足地の迷宮の攻略に向かう。


今夜は三層の攻略だ。

今日中にテイムを一回、忘れないようにしないと。


「三層はどんなところだろうなあ」


「なにが出てくるっすかねえ」


「ガイコツ、巨人ときて…… わからんのう」


「甘いのがとれる子がいいのです」


それはちょっと難しくない? 魔樹とかかな……?


禁足地の迷宮に侵入。

デキア・マキナとタイタンは今回は三層には連れていかない。

二層の城の敷地内に畑があったので、それの管理をお願いする。ここの攻略が終わったら、国に全部持って帰るよ。ここで飼ってる家畜も馬も魔物もね。




三層は、沼地だった。


「うわあ、足元べちゃべちゃ。浮くか」


「う、浮いていくのです」


「ずるいっすよ人外ども……」


「足がとられるのは厄介じゃのう」


一歩目から沼なので、ヒナとムサシは足首くらいまで埋まっている。帰る前に水魔法で流そうね。


出てくる魔物は、なんというか…… サンショウウオみたいなやつとか、トンボみたいなやつとか、強そうなのでもワニみたいなやつとか、そんなもんだった。


「強い?」


「弱いっすよ」


「絶対切断を使うまでもないのう」


なんというか、普通の魔物っぽいもんなあ。一層二層のほうが強かっただろう。

これは、かわりにボスがめちゃくちゃ強いって事か、それか普通にボスも弱いのか。でもエリスの神域への道なんだから、弱いやつは置いておかないよなあ。


それからまだまだ進む。

相変わらず、よくわからん魔物ばっかりが襲ってくるが、何事も起こらず最奥へついてしまう。

なんだったんだろう。


ボスエリアだろう場所についた。

そこだけ、足場があるし、広い。


「ボスなのです」


まわりの沼地から、足場に、魔物が這い上がってきた。

大きい。明らかに、この階層の魔物より強い。ボスだろう。

しかし、しかしな……


「なんでオオサンショウウオ……?」


「弱そうっすねえ」


「柔らかそうじゃな」


でかいだけで…… 弱そうだなあ……


「よくぞ来た、侵入者ども! 我が名はドラム! この沼地の支配者にして、最強の竜種である! この階層全体が我が魔法の支配下にある。我の底なし沼の前では手も足も出…… あれ、ちゃんと四人いる」


「あ、えっと……」


「あれ? 底なし沼よ? 踏んだら沈んで魔物の餌よ? あれ、我の魔法、効かない?」


「あ、浮いてるんで……」


「浮いてるのです」


「ああ、魔法だから気力で反発するんすね」


「なるほどのう」


……ああ、この沼地、全部魔法だったんだ!今理解した!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る