210話、天魔のアンジュ
「ユウタなのです?」
「そうそう、ユウタ。どこかで聞いたような……」
「牢屋から解放した人なのです。覚えてないのです?」
「え、全然おぼえてない…… ああ、うっすら思い出したかも?」
数百年くらい幽閉されてた元勇者、だったっけか。
そのユウタと、イサムたちが協力してるのか。結果論だけど、解放して正解だったな。
「で、なんだっけ。エリスのコアみっつのうちひとつが今の禁足地の奥で正解で、残り二個が未発見と。ユリスは残りひとつ、と。うわあ、先越されてるねえ」
「イサムたち、頑張ってるのです」
装備が足りないからって旅に出たのに、もうそんなところまで進んでるんだね。さすが本物の勇者。
「そんな事より、私です、私! 天魔のアンジュです! 雇って貰えませんかって話です! 個人的には一番大事な話ですよ!」
ああ、そうだった。
ユリスのコアがふたつも破壊された影響で、フリーランスになっちゃったんだっけ。
うん、別に雇うのはいいけど。
「何ができるの?」
給料は能力次第で要交渉だ。ブラックじゃないよ、歩合制だよ。
「テレポートがつかえます!」
「何人まで?」
「一回につき、魂の数で五つ分までです!」
「はい採用ね!」
「ありがとうございます! 精一杯働きます!」
よし、これでテイムした魔物どうしよう問題が解決したぞ。都合がいいな。
「あ、ちなみにですけど、タキナさんはテレポートさせられません!」
「は?」
おいおい、クビにするか?
アンジュはとりあえず、戦闘の役にはたたないらしいので、レティと一緒に宿でなにやらしてもらう事にした。
先にアンジュだけ帰らせてもいいんだけど。あっちの私がなんとかするだろうし。
テレポートが使えるのなら、例えば領地が広がったとしたらその間の移動手段を仕事にできるだろう。
細かいことは、ここでやることが終わって、帰ってからアリスたちに相談だな。それまではレティに丸投げだ。
羽とか大丈夫なんかと思ったが、認識阻害ってスキルもあるらしい。それで人間っぽく思わせる事ができるという。便利だなあ。他人にもかけられるというので、レティも今日からは帽子を被らなくて良さそうだ。
「さて、じゃあ帰ろうか」
「いっぱい買い物したのです」
「あ、もしかして無限庫持ちですか!!」
「わたくしも、そのスキルが欲しいですね……」
荷物を手に持たなくて済むというのは便利なんだよな。
それなら、マジックバッグとかいうのもあったはずだが。
「はい、レティ」
「これは…… マジックバッグですか?」
「そういえば持ってるなと思ってね」
「助かります……! ありがとうございます」
そんなに喜んで貰えるなら、宝物庫から盗んだかいがあるよ。
「私もほしいのです」
「私も! いや、使うかは置いておいてほしいです!」
……いくつあったかな。結構あったよな。二人ともそんなに大容量のは要らないだろう、小さいのをあげてしまおう。
残りはアリスに預けてしまおう。必要な場所に配ってくれるだろうし。お土産も仕事もいっぱい持って帰るからね。
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