208話、二層クリア


「デキア・マキナ…… 貴様、どういうことだ」


巨人の王は、デキアと面識があるようだ。

それもそうか、十信徒とかなんとか言ってたし。


「神への忠誠心は変わらぬよ」


「なぜなら、その神がそっくりすげ替わるのだから」


「エリス様を侮辱するか!」


「事実なのだよ」


「貴様もすぐに知ることになる」


煽るねぇ。巨人の王、顔真っ赤でブチ切れだよ。普通に怖い。


「許さぬ。許さぬぞ、デキア・マキナ! 異界の者諸共、肉片となれ! 『エクスプロー「テイム」


危ない危ない。あの詠唱は絶対に爆発系の魔法でしょ…… こんなところでどんな神経してんだ。


「……なるほどな。そういうことか、デキア・マキナ」


「驚いたか?」


「これが神の御業よ」


まあ、この確定テイムはそのエリスに貰ったものなんだけどね。


というわけで、二層クリア、かな?

ひとまず、魔物情報をみるか。



タイタン。

現在の神が信仰されるより以前、自然神として崇められていた超巨大巨人。

世界を彷徨い、強き者と戦い生きてきた。

気が昂ると爆発魔法を使い、一帯を粉々にしてしまう。地震の原因は、この爆発による揺れだと信じられていた。



やっぱりタイタンだった。

めちゃくちゃデカいし、ギガンテスたちの王だし。


「さて、どうする? テイムもう一回あるけど、三層いく?」


「一旦帰ってもいいんじゃないすか? 今日の深夜に潜って、一回のアタックでテイム三回使えるほうがいいっす」


「たしかに」


今日の分を一回残しておいて、日付変わる前に消化すればいいからね。昨日みたいに。


「我はどうすればいい?」


大人しくなったタイタンが、おずおずと聞いてくる。

……やっぱり、テイムって怖いな。さっきまでブチ切れ皆殺しモードだったのに。強制力が強すぎる。

しかしそうだな、タイタンもデキア・マキナも、私の街ならともかく、この迷宮都市で連れ歩くのは無理。

転送とかあればいいんだけどなあ。


「待機だなあ。デキアとタイタン、ギガンテスもこの迷宮内で自由にしてていいよ」


「まあ、我の巨体ならそうなるか」


とくにタイタンはロックドラゴンくらいのタッパあるからな。帰りは深夜にさっと飛んでいけばいいから…… あ、海のほうの扉くぐれないのでは? どうしよ。まあその時考えるか……

一回食べてしまってもいいんだけど。





ひとまず攻略が進んだので、地上に戻る事にした。

今日も昨日と同じく、日が昇りはじめる時間だ。


「首が痛いのです」


「敵がデカいから、ずっと上向いてたっすからねえ」


「風呂に入りたいのう」


「大公様のところで風呂貸してもらう?」


「昨日の宿でいいだろう、レティも待っとるからのう」


それもそうか。レティ、ひとりで寂しくないかな。マリアと私の分体、置いていってあげようかな。

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