207話、巨人の城の玉座
一階の扉をすべて解放した。
厨房と、トイレに中ボスらしき魔物がいるのを発見した。
私の分身は一目散に逃げたから、それを追ってここに二匹とも集まってきた。
「そういうの、モンスタートレインっていうんすよ?」
「誘導だよ、誘導。あとはまかせた!」
結局、マリアとデキアが足止めし、ヒナとムサシがトドメをさす。
テイムも考えたが…… 六本腕のオークも、ムカデの群体も、私には要らないなあ。
というわけで、一階はクリア。
次は二階だ。
二階も扉を片っ端から開けて、中から出てきた魔物をみんなの所に連れてくる、を繰り返した。
いろいろ面白い魔物が出てくるが…… 全部、普通のより大きい。ここはそういう階層なのだろうか。
「虫型の魔物は、デカいと余計に気持ち悪いっすね」
「斬りがいがあってワシは好きじゃが」
私が連れてくる魔物を次々と片付けていく。
二足歩行の魔物が多かったな。城の労働者たちかな。
二階の扉もひとつを除いて片付けた。内部を漁るのはあとにして……
あとは、大きくて豪華な扉を残すだけだ。
「玉座って一階にあるもんじゃないの?」
「二階の場合もあるんすよ」
「へぇ、いままで全部一階だったからそういうものかと」
一階ホールから二階に上がってすぐの、大きく豪華な扉。
おそらく、玉座。ボスの部屋だろう。
私が、その扉を押す。
「ふんっ! ……開かない」
「任せるっすよ。ふんぬぅ! ……開かないっす」
ヒナで無理ならみんな無理だよ……。
どうやって開けるのだろう。呪文とか?
ヒラケゴマ?
「斬ろうか?」
「……うん、斬ろう」
致し方ない。
ズバン、と大きな音をたて、扉は格子状に斬り崩された。
やはり、玉座だ。ながいカーペットの先、数段上に豪華な椅子が置いてある。
カーペットの左右には、表で見たものより豪華な装備をした巨人が整列している。
「よ、よく来たな、異界の者とその従者たち」
玉座に座る巨人が話しかけてきた。
お、ちょっと動揺してない? やっぱり入り方間違えたかな…… 謎解きかなんかがあったのだろうか。
「ここまで足労いただいたのだ、歓迎したい。まずは……」
巨人の王が片手をあげる。
「騎士どもよ、こやつらを歓迎してやれ!」
左右の騎士たちが一斉にこちらに向かってくる。
「我らがやろう」
「とくと見よ」
デキア・マキナが一歩前に出る。
二体が前に両手を向け…… なにかを発射した?
豪華な鎧の騎士たちは、その場で立ち止まり、蹲り、頭を抱えたりのたうち回ったりしている。戦闘なぞできそうにない。
しばらくすると、みんな動かなくなった。
「マイクロウェーブ、というものだ」
「タキナ殿は知っているだろう?」
うん、知ってる。けど…… この距離でその威力、ヤバすぎるでしょ。
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