206話、巨人の城侵入


ダンジョン内部には、城が多い気がする。なんてどうでもいい事を考えながら、城の内部へ潜入。

入ってすぐはホールになっていて、そこでは人間より一回り大きいくらいの貴人たちがダンスをしたり食事をしたり…… パーティをしていた。


「幻なのです?」


「うお、触れないっすね。めちゃリアルな幻影っすね」


マジでパーティやってると思ったら幻かい。まったく気づかなかった。

これはただの演出なのだろうか。襲ってくることも、こちらを気にすることもない。

ひとまずパーティ会場はおいておいて、先に進もう。ボスがいそうな部屋、といえば……


「玉座の間か、私室か、訓練所みたいなところか。どこだと思う?」


「こういうのって、一階の片っ端から開けていくものじゃないすか?」


「おじいちゃんの気配察知でなんとかならないのです?」


「うむ、扉に気配遮断がついておる。ワシのでも難しい」


私も、気配察知…… うん、なんにもない。ムサシと同じく、扉の向こうは見れないね。


仕方ないので、片っ端から扉を開けていくことにした。ただし、二階から。どうせ一階に重要施設なんかないのだ。


扉をあけること数時間。


「いや、多すぎ」


「もう、とびら、みたくないのです」


「……これは、トラップっすかねぇ」


トラップ。正しく進まないといけない、みたいな感じかな。

もしかして、一階から全部の扉をあけて、中ボスとかを倒して、それから二階の扉、みたいな。そういうことか?


「二手にわかれる?」


「いや、問題ないとは思いたいっすけど、もしもの時にタキナがいないと詰む可能性があるんすよね」


「地道に、だな」


「我らも助力したいが」


扉を開けるだけ、だもんな。今のところ。

それこそ、マリアに分身つくってもらって…… そうだよ、それでいいじゃん。


「マリア、分身…… 何その顔」


マリアがめちゃくちゃ嫌そうな顔をしている。そ、そんなに嫌だったか……? 最近頼りすぎた?


「分身も、霧も、影も、できないのです」


「えっ」


「……そういえば、耳が遠くなったような気がするっすね」


「ワシはなんともないが」


「我らは…… もしや」


「そういう事なら、不死性が無くなってるやもしれぬな」


城に入る前は問題なかった。

つまりこの城には…… おそらく、種族特性を封印するなにかが施されているのだろう。

これは、厄介かもしれないなあ。

いや、まてよ?


「分裂…… あ、いけるじゃん」


「……タキナ、ずるいのです」


そんな怖い顔で見ないでよマリア……

私のは種族特性に依るものではないから、だろうな。全然増やせたわ。

とりあえず二十くらいに分裂して、サクッと一階の扉を確認し尽くそう。

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