204話、二層目の敵


「なんか条件を達成したみたいで、新しいジョブをもらったの。で、それでユニークスキルとして確定テイムが貰えるはずだったけど、既にもってるから進化したって感じ?」


「確定テイムって、エリスから貰ったんじゃなかったっすか? 他の誰が二個目なんかくれたんすか」


たしかに。ユニークスキルというからには、所有者

は世界で一人だけじゃないとおかしい。なのに私は、エリスと誰かの二人に渡された。


「仮説じゃけど…… それこそ、別の世界のスキル枠なんじゃないかのう? この世界用の確定テイムはエリスに。別の世界用の確定テイムが、今回誰かに渡されたというのはどうじゃろう」


「あー、わからんでもないっすね」


「こんなスキルがどの世界にもあるのちょっとイカれてると思うけどね」


「タキナおねえちゃんが言うなってやつなのです」


なんにせよ、私が更に強くなったのは間違いない。

疑問はとりあえず置いておいて、迷宮の攻略を進めよう。




私、ヒナ、マリア、ムサシ、それとデキア・マキナの六人じゃなくて五人? で、迷宮の二層目に侵入した。


二層目は、ものすごく広い草原だった。

そこかしこに、ドラゴンが飛んでいるが……


「ドラゴンに首輪ついてるのです」


「うわ、あれ見るっすよ。でっか」


「巨人かのう? にしてもデカいのう……」


飛んでいるドラゴンは、大きい。

が、それに首輪をつけて散歩させている存在がいる。そいつが、ドラゴンより大きい。

形は人。だがとにかくデカい。それが複数。

一旦テイムしてみるか? と思ったが、ボスが複数の場合を考えて、ひとまずやめておく。


「倒せそう?」


「まあ、余裕じゃな」


「余裕なのです」


「私はちょっと時間かかりそうっす」


「我らも問題なさそうだ」


雑魚狩りはみんな大丈夫そうだな。問題はボスか。


超巨大な巨人と、そこそこちゃんとしたドラゴンをバッタバッタと薙ぎ倒しながら、先へ進む。

見上げると首が疲れそうなデカさでも、マリアにかかれば一瞬で意識を奪えるし、ムサシにかかれば手の届かないところの太い首も斬り落とせる。

ヒナは四肢に深い傷を負わせて動きを止められるし、デキア・マキナはよくわからない魔法でドラゴンも巨人も灰にしている。

私はみんなを応援しながら、無限庫からおにぎりをとりだして食べている。


「いいご身分っすね!?」


「王だからね」


「くっ、言い返せない!」


「いずれ神にもなるからね」


「私も神になるのです」


「じゃ、おにぎり食べる?」


「食べるのです!」


マリアには、エビマヨおにぎりをあげよう。


「あー、じゃあ一旦ご飯休憩にするっすか?」


「さんせー」


「さんせーなのです」


「我らは食事が不要故、瞑想をしておく」

「出発前に名を呼んでくれ」


「あ、ワシは鮭にぎりがいい」


「私はランダムで三個ほしいっす」


ランダムね。なにが当たるかな……


「……なんすかこれ、あまい」


あ、カオスの甘味研究の試作品もいれてたの忘れてた。

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