203話、異世界因子


マフィアの事はマリアの分体に任せて、我々は我々の本来の目的をこなそう。


94日目、夜。

良い宿をとり、レティに管理を任せて、外へ。

我々はまた、禁足地の迷宮に侵入した。


「待っていたぞ、我が主」


「二層へは我らも同行して良いだろうか」


そういえばこんな骸骨、テイムしていたな。ちょっと忘れてた。

二層はこいつらより強いやつがボスだろうし、肉壁はいたほうがいいか。肉のないスケルトンだけど。


そういえばこいつらの魔物情報を見てなかったな。

一応、見ておくか……



デキア・マキナ。

ひとつの世界を滅ぼした、最悪の兄弟の伝説になぞらえて創られた魔物。

火と雷を操る兄と、氷と毒を操る弟が、世界を火と雷で焼き尽くし、世界を氷と毒で侵し尽くした。

伝説では二属性ずつだが、この魔物は二体で一体。それぞれが四属性を操る魔改造を施されている。

余談ではあるが、その魔法はこの世界の魔法とは違うらしい。



ただ魔法を使うだけならメタスラちゃんでいいじゃんと思ったけど、別の世界の魔法をつかうっぽいな。そんなのありなのか…… もしかすると、私たちの使える防御魔法だとかそういうのは、他の世界の魔法には通じないかもしれない。

そうなると…… 試したくは無いな。戦わなくてよかった。

あ、それなら。


「こっそり魔物生成、からのぱくりんちょ。 ……誰も見てないな」


「ワシは見てたぞ、オイ」


「私も見てたのですよ?」


「私も見てたっす」


「我らも見ていた」


「見るなという方が無理だろう」


全員に見られてるじゃん。

昨日はなんやかんやで止められたから食べなかったけど、コピーならいいかとおもって……


しかしこれで、私も異世界の魔法を使えるよう、に、?


『​────規定数の異世界因子を獲得。ジョブを付与します。ジョブ:魔皇。ユニークスキル:確定テイム。​この世界でのユニークスキル保有者を確認。該当者、アグニタキナ。スキルを統合します。当該保有者の確定テイムを剥奪、統合し、アグニタキナにユニークスキルを付与。ユニークスキル:確定テイムEXを付与しました』


「───キナ、タキナ! どうしたんすか! 毒でも当たったっすか!?」


あ、えっと…… そうだ、私、魔物生成でコピーだして食べて…… それで?

ああ、ジョブが増えて、ユニークスキルの確定テイムがなんか、どうなったんだろう。わからない。

こういう時は、ステータスを見てみるしかない。


「ステータス。ユニークスキル、確定テイム……EX…… あー、なるほどね。完全に理解したわ」


「心配したのです。どうしたのか説明するのです」


「そうっすよ、ちゃんと全部吐くっす」


心配させてしまったようだ。仕方ない、説明してらるか……


「確定テイムが、一日二回できるようになりました。いえーい」


……あれ、反応がないぞ?

おーい。


「ぶっ壊れすぎないすか」


「やべーのです」


「人外がまた人外になったんじゃのう」


みんなからの当たりが強すぎる!

強くなったんだからいいじゃんね!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る