200話、夜までの時間つぶし
テイムを使ってしまったので、今日は引き上げることにした。
入ったものは出られない、と言われていたが……
「普通に出れるのです」
「でれるっすねー」
全然普通に出れた。スっと。なんともなく。
まあ、噂は噂。入ったやつらが中で全滅したから出て来れない噂が出ただけだろうな。
「それで、我らはどうすればいいのだ」
「人間の街に我らがいるのはさすがに不味いだろう」
ああ、そうだった。テイムした魔物、デキア・マキナの事をまったく考えていなかった。
このあたりは人が入ってこない区画だから問題ないが、さすがに城や宿なんかには連れていけないだろう。
「一回食べちゃおうか」
「それはちょっとなのです」
「人語を話す魔物も食えるんすか?」
「ワシも食われる……?」
やめとこ、やっぱりなんかヤだわ。しかし、どうしようかなあ。
「ひとまず、この迷宮の中で待機、でいいかな?」
「承知した」
「適当に掃除でもしておこう」
ま、これが一番丸い。クリアしたら連れて帰ろうね。
94日目、早朝。
迷宮の一層だけでも朝までかかるかと思っていたが、まだ日が昇っていない。うっすら明るいが、朝までまだまだだろう。
さて、今日は夜までどうするか……
「とりあえず、昼まで寝るっすか?」
「ねむいのです」
「ワシはなんでもいい。寝ないからな」
私は…… まあ、ちょっとは寝ておくか。
というわけで、昼までの短時間だが泊めてくれる所を探すことに。
探すといっても、ここは冒険者の町。決まった時間に迷宮から戻れるわけでもないので、いろいろな時間帯から泊まれる宿が多い。
そこそこ良い宿を選んだ。
飯はもちろん、珍しく風呂もついてくる。風呂は男女別の大浴場だ。
みんなで入ってから、朝ごはんをいただく。
汁物、さっぱりめの肉、野菜、バランスよく出された。
城で食べたものほどでは無いが、どれもとても美味しい。
「さて、昼まで寝て、昼からなにしようか」
「甘いもの食べに行くのです」
「私は城にレティを迎えにいくっすよ」
「ワシはマリアについていこうかの」
みんなバラバラか。ムサシは置いておいて。
うーん、私は…… 昨日あんまり見れなかった、迷宮からの掘り出し物を見に行こうかな。
変な石とか、よくわからん魔道具とか、露店にいろいろ並んでいたのを見たのだ。そういうの割りと好き。
「じゃ、夕方くらいにまたこの宿の前で合流ね」
「なのです」
「了解っす」
「さ、マリア、いこうかのう」
私も行こう。まずは…… 昨日見たらへんを適当に歩き回るか。
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