199話、ふたつでひとつ
93日目、夜。
「よし、じゃあ、一層目は片方を私がテイム、もう片方をテイムした子と皆で片付ける、でいい? 道中はどうかな」
「道中は私だけで大丈夫なのです」
「じゃ、マリアには道中任せるね」
これから、禁足地である迷宮へのアタックを開始する。
とりあえずは一層へ。日が回る前にテイムを済ませておきたい。
「で、ボスはなんなんすか?」
「スケルトン系なのです」
マリアが勝てないスケルトン系? そんなのいるの?
禁忌の迷宮、一層目。
なぜ禁忌の迷宮なのかって? 私が名付けた。禁足地とか侵入禁止迷宮とかなんか味気ないので。
道中の魔物も、スケルトン系がメインだ。マリアの霧だけでなんとかなる程度の。
「スケルトンナイトは二級とか三級の雑魚なんすけど、武具のレベルが高いっすね。これなら一級っすかねー」
「霧のマリアには武具は殆ど無意味だもんねえ」
霧に触れたら負けなんだもんな。宇宙服とかそういうのでないとマリアの霧は防げない。
スケルトンナイト、スケルトンバーサーカーなどのほか、いろいろな珍しいスケルトン系が出てくる。割と数が多いが、すべてマリアが片付ける。
「疲れないのかのう?」
「歩くのと同じくらいなのです」
「便利っすねぇ」
霧化と魅了と支配のコンボ、余りにも強すぎる。私もやりたい。似たようなの出来ないかな。
暫くのんびり進む。
「もうちょいなのですよ」
「お、すごい強い魔力を感じるっす」
そろそろボスエリアのようだ。大丈夫かな、勝てるかな。
ボスエリアの扉前に到着。
扉には、豪華なローブを羽織った二体のスケルトンが左右に象られている。
めちゃくちゃ強そうだ。
「はいるか」
「っす」
「いいぞ」
「なのです」
あ、ちなみにレティは城で預かってもらっている。
この国のメイド業を教えてもらうらしい。対価としてアグニ王国のお菓子レシピをいくつか置いていっていいと言っておいた。
扉をあける。
広い、謁見の間のようだ。
奥に二つの椅子が見える。玉座か。
「よく来た、旅人よ」
「お初にお目にかかる。我々はエリス様の配下、十信者の一人」
「名を、デキア・マキナ」
「そなたらの名と、目的を問おう」
お、話せる魔物だ。なかなか珍しいんだよね。
会話が出来るなら、情報を得てからテイムしよう。
「私はタキナ。エリスからギフトをもらった人間よ。十信者の一人って言ったけど、二人いるみたいだけど?」
「タキナ…… 覚えたぞ。我らはふたつで一人。片方が潰えても、片方が残る限り、何度でも再構築される。我らを倒す方法は、無いのだ」
「それで…… ここに、何の用だ? タキナ」
「ああ、じゃあ二体だと思ってたけど実際は一体、って事ね?」
「それがどうかしたか」
「テイム」
はあ、作戦までたてて来たのにね。なんか拍子抜け。
まあ、マリアが一人じゃ倒せないって言ってたし、楽できるなら楽な方がいいんだけど。
「……なるほどな、タキナ。これがエリス様からのギフトというわけか」
「我らはふたつで一人。これからは、貴様の配下となろう」
よし、一層クリア。
なんだかなあ。まあ、こういうのもあるか。
「終わっちゃったのです」
「ちょいと戦えると思ったんじゃけど」
「私は戦わなくて良かったと思うっすよ」
二層からはもうちょい楽しかったらいいなあ。
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