193話、謁見
敵の戦闘員は一人だけ放置し、残りはマリア曰く用無しらしいのでファイラたちに預ける。
放置した戦闘員にはマーキングがされており、どこに行ったかわかるようになっている。魔物に襲われて死ななければいいけど。
ファイラたちはもう移動できるというので、皆でペルギウス公国に向かう。
我々はファイラたちの後ろからついていく。
公国へはすぐに到着した。さすがに、もうトラブルは起きなかった。
門にはちゃんと門番がいたが、ウェルが一言二言話すと、我々含めて素通りできた。権力は素晴らしいな。
「ひとまず、城へ参じていただきたい。よろしいですか?」
「タキナ様、いかがでございましょうか」
「ん、いこうか」
ウェルの先導で公国内を進む。
迷宮都市というには、冒険者らしい者が少ないな。
「こっちは冒険者が使えない方の門っすね。住民用なんすかね」
なるほどね。区画が結構がっつり別れてるわけか。
こっちは普通の町の普通の住民区画と変わらない。冒険者側、迷宮都市らしさを見るのは明日かな。
しばらく進むと、奥に少し大きな建物が見えた。
あれが城か。
「もう少しで到着でございます」
城に到着。
馬車を預け、中へ。
控え室に案内され、お茶と菓子を出される。
「渋めだね」
「菓子が甘くて、お茶の渋さとバランスが良いっすね」
「お砂糖いれたいのです」
「この渋さがいいんじゃろう。ほれ、めいど、砂糖をもってこい」
おいジジイ、甘やかすな。
飲みきってすぐ、ウェルがやってきた。
「大公閣下がお待ちです。どうぞ、こちらへ」
私が先頭、ヒナがそのほぼ真横で歩く。
こらマリア、影を伸ばして影絵で遊ばない。ムサシもそれみてニヤニヤしない。
「こちらでございます」
ちゃんとした扉がある。ゼストの城とか、ラプラスの城とかで見たような扉だ。謁見の間の。
「冒険者ヒナ殿、並びにお連れの方々をお呼びいたしました!」
ウェルが扉に叫ぶと、扉が開かれる。
ゆっくり進み、途中でとまる。ラインテープがはられてあるのでどこまで進めばいいかわかりやすい。ありがたすぎ。そんなんありか?
膝をつく、と思ったが、遮られる。立ったままでいいのか。
「優秀な冒険者を呼ぶこともあるのでな、多少のカンニングは用意してあるのだ。膝もつかずともよい」
壇上の豪華な椅子で、ニコニコしてるおじさんが喋る。おじさんとは言ったが、三十代くらいか。
「私がペルギウス三世。パライバ・アーク・ペルギウス大公である。よろしくな」
「特級冒険者、アグニ王国所属のヒナっす」
パライバさんの隣にはファイラが立っている。
こちらをみて、この子もニコニコしている。いや、ヒナをみて、だな。
「我が娘と、我が騎士たちの命を救ってくれた事、感謝する。なにか、望む褒美はあるか?」
そう、褒美だ。とりあえず飯の情報を……
「美味しい店の情報と…… 侵入禁止迷宮の情報と、侵入の許可がほしいっす」
あ、そうだ、そうだった、迷宮ね、そうそう。忘れてた。
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