177話、あさごはん


89日目。

朝、目覚めると、メイドがカーテンをあけてくれる。

水をいれたカップを渡してくれる。着替えを手伝ってくれる。顔を洗う補助をしてくれる。髪のセットをしてくれる。朝ごはんはゼストの城でみんなで食べるというと、軽い外出の用意をしてくれるし、靴を履く手伝いもしてくれる、家の施錠もしてくれる。

ゼストの家の鈴も鳴らしてくれるし、荷物も持ってくれる。

メイド、すごい。


「ありがとね、レティ」


「わたくしはメイドなれば」


謙虚に目礼。ピシッとしててかっこいいな。他のメイド達にも引けを取らない。おでこにある角がチャーミング。触りたい。触ったらダメらしいから我慢するけどね。


朝ごはんはハンバーガーだった。

私はレモンタルタルフィッシュバーガー。朝はちょっとさっぱりがいいよね。

マリアはベーコントマトパイナップルバーガー。え、パイナップル合うの? マジで?


「うーん、まあ、食べれなくはないのです」


二度目は無いな。チャレンジ精神は尊敬するよ。

ゼストは照り焼きチキンバーガー。最近、照り焼きにハマってるらしい。

アリスはチーズバーガー。ただし、パティとチーズが五段のやつ。どうやって食うの?


「ナイフとフォークで食べるんですのよ?」


「かぶりつけないよねそりゃ」


ロミオはBLTバーガー。普通が一番よね。

ベルゼとレティは後で別で食べるという。一応、なにを食べるか聞くと、ベルゼはエッグチーズバーガー、レティはトリプルバーガーだと。

みんな結構、朝からがっつり食べるねえ……


「タキナは朝に弱いのです」


「その様ですわね。食べ進める速度が夜ご飯の半分程度ですわ」


「アリスは朝から夜まで食べ過ぎなんだよなぁ」


「太らないからいいんですのよ」


「体型が変わらないのは羨ましいな。俺はこの国に来てから結構増えたぞ」


「ロミオのソレは半分以上は筋肉だろう。鍛えているのを知ってるぞ」


「ゼスト殿、そういうのは男の秘密というやつでして……」


ちゃんと鍛えてるんだ。偉いじゃん。私も運動くらいは…… いや、太らないからいいか。

前世ではちゃんと太ったり痩せたり、肌とか髪とか気をつけてたけど。こっち来てからは、なにも変わらないなぁ。

……髪も、伸びてない気がする。おかしいな。食べたものは出るんだけど。

なんか、気にすると変な気分になってきた。人間じゃなくなってるような…… あ、いや、もう人間じゃないのか。もうすぐ神になるし。いいや。


「おかわりしようかな」


「あ、わたくしもおかわりですわ」


いやどんだけ食うねん!

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