176話、メイド
さて、テイムした魔物の情報を見てみよう。
ハイドラプラナリア。
知的生物の脳と思考を貪り食う化け物。どれだけ切り刻んでも死なず、切り離された体組織はまた別のハイドラプラナリアとして復活する。どれほど小さく切っても、小さなハイドラプラナリアになるため、古代科学の時代は不老不死や欠損の復活などの研究に使用された。
ぬめりがあるため、塩で揉んでから調理するのがいいだろう。
あれ、魔物吸収があるからか? 余計な情報も追加されてら。
とはいえ、とりあえずはこれで分裂し放題ってところかな?
今日は魔物生成がもうないから、ひとまずこのオリジナルを食べちゃおう。愛着も無いうちなら、コピーもオリジナルも同じだな。
ぱくり、と。
うん、たしかにぬめりがある気がする。
が、まあ、スライムで食ってるしあんまりわからん。どうせすぐ溶けるし。
切り刻んでも死なないけど、全身を一気に溶かせば流石に復活はしない。細胞が生きてたら復活するんだろうな。
「スライム化、そして切断…… どうだ?」
腕をスライム化し、切断。体重は減らない。
スライム化するとき、体積が自在に変えられるのだ。食べたものの分がどこかに格納されてるのかな。そういえば最近、トイレ行かなくなったな……
「お、復活した。私じゃん」
「これは大成功では?」
「記憶はどうなるんだろう」
「本体に戻れるかためすか」
「スライム化……」
「お、戻れる。記憶も混ざった、かな」
分裂体からみた私の顔が記憶に残っている。
これは結構、いいのでは。
「分裂、三人に。……実験するか」
「分裂体はスキルつかえるのか」
「テイム何回もできたら最強じゃね?」
まあもうこれといってほしい魔物いないけどさ。
結論からいうと、分裂体も魔法は使えた。
私の出来ることは大抵できた。メタスラちゃんの能力もつかえる。防御力も多分同じ。つまり戦力になる。
しかし、確定テイム、魔物生成は出来なかった。魔物吸収はできた。
ユニークスキルはダメなのかな。魔物吸収はオーブでゲットしたし。いや、一日一回のほうか。分裂しても私は私だからね。
残念だけど、まあさすがに無理なのはわかってた。分裂体で確定テイムがつかえたら、無限分裂してダンジョン確定クリアじゃん。いや、いまでもダンジョンは余裕だけど。
やることやって、城から帰る。
レギオンとメイドも街についていた。よし、レギオンとメイドと一緒に晩御飯食べよ。
食堂に赴き、調理班に料理をつくってもらう。
メイドは恐縮してたが、君たちの勉強の場でもあるからな。作り方覚えてくれよ。
「この子らはキッチンメイドじゃないよ?」
はっ、そうか。メイドといえばオールマイティのイメージがあったが。
「一人くらい、なんでも出来る子がいたほうがよくない?」
「メイドオブオールワークってやつだね。まぁ、そうさね…… 一人やるよ。タキナちゃんが欲しい子を選びな。この子らは全員、めちゃくちゃ優秀だよ」
え、選んでいいの!? この美少女たちから、一人……!
「え、えー………… この子、この子がいい!」
「お目が高い。一番若くて仕事の覚えが早い、やる気と好奇心の高い子だ。お前、今日からタキナちゃんのメイドだよ。給料はちゃんと交渉しなよ」
わ、わあ。メイド貰った。レギオン、すげえ。
「ありがとうございます。わたくし、レギオン様の王城でハウスメイドをしておりました、レティと申します。これからはタキナ様に誠心誠意仕えさせていただきます。どうぞよろしくお願いします」
わぁ、綺麗なお辞儀。お辞儀の文化あったんだ。思い返してみたら、ゴールドも商談の終わりにお辞儀してた、かも。
「よろしくね、レティ。メイド雇うのはじめてだから、なにか不満があったら言ってね」
「御配慮、ありがたく」
メイド、いいなあ。
……給料、何払えばいいんだ? アリスに相談しよ。
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