171話、問題解決


魔王タンタロスを町から引き剥がし、何も無い草原に誘導してもらった。

さて…… メタスラちゃんの魔法でどうにかなるかな。


「極力、水が流れない方法はあるかい?」


「まあ……無理ではないかも。わかんないけどやってみる」


「最悪、全部落ちてきてもここならなんとかなるだろうけどね……」


このあたりが湿地になりそうなくらいの量だもんなあ。


さて、はじめるか。

メタスラちゃんを取り込んだ、と言ったが。

初期のメタスラちゃんではなく、現在のメタスラちゃんを取り込んだのだ。

つまり、めちゃくちゃ強い。


「よし、距離もいけそう。……二人とも、寒かったらごめんね」


「ん? おお、氷属性の魔法か。私は大丈夫だよ」


「私も問題ありません」


「じゃ、いくよ。『アブソリュート・ゼロ』」


瞬間。私の前方の空気が全て、止まった。

タンタロスは動きを止め…… 落下をはじめた。


「落ちるぞ!」


「わ、退避退避!」


三人とも自力で退避し、落下に備える。

タンタロスが、氷の塊が、落下する。


ドゴォン……と、地鳴りが起こる。

砂埃が舞い、視界が遮られた。


「やったか?」


うわ、フラグ立ったじゃん! まあいいけど。


しばらく後、砂埃が収まった。

目の前には、巨大な氷塊。それと……


「あれは……」


「あれが、タンタロスの本体。……気を失っているようだ」


これまた、美少女魔族が倒れていた。

死んでなくてよかった。魔王は頑丈だな。


氷の処分はめんどくさいので、とりあえず私の無限庫に入れた。あとでどうにかしよう。


「タンタロスは、私が預かるよ。いいね?」


「ええ、もちろん」


ということで、タンタロス本体は、レギオンが預かる事になった。


「ひとまず、原因はなんとかなったが……」


「現状の干ばつの解消方法が無い。時間が経てば、なんとかなるだろうが…… それまで、国民が耐えられるか」


うん、それなら。

とりあえず、今日明日でなんとかできるかも?


「魔物生成、クジラ。とりあえず、ネスンスさんはこの子を国に連れて帰ったらいいんじゃないかな?」


クジラ。私の国に雨を降らせた魔物だ。結構大きい。

ネスンスさんはクジラを見て、口を開けて驚いている。


「こ、この魔物は…… あの伝説の、恵みの神獣……! タキナ殿、これは……?」


ああ、説明してなかった。


「私のスキル、魔物生成でコピーをつくったの。私の配下だけど、とりあえずはネスンスさんに従うように言ってるからね。……悪用しないでね?」


「そ、それはもちろん、約束する。……恵みの神獣がいれば、我が国の干ばつも必ず解決する。ありがとう」


「いえいえ。明日はこの国にも貸し出すからね」


「たすかるよ、タキナちゃん」


これで、とりあえずは問題解決かな?

タンタロスに関しては、レギオンがなんとかするだろう。

あと私の出来ることは、明日、この国の分のクジラを生成するだけ。

ああ、今日の分のテイム、どうしようかなぁ。


「……なあ、なにかがこっちに来る気配がするんだが」


「レギオン殿……私も感じるぞ。強い、火の気配が」


え、なに? 不穏なのやめてほしいんだが。

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