167話、知らなかった
86日目、夕方。
広場でのんびりしすぎて、もうすぐ日が落ちてしまうところだ。ニートに適正あるんじゃないかな私。こんなんで神なんかやっていけるのか?
さて、今日の分のテイムを考えないとな。
城の地下か、どこかにいくか。
「まー、うん、面倒だし城でいいか」
どっかいくのめんどくさいし。いいや。
というわけで城の地下に向かう。
城に入ると、風呂上がりのゼストが歩いていた。もう少し目に悪くない服装してほしいな。見せつけやがって。
「なにみてんだ」
「なんでもないよーだ。地下いくね」
「……ああ、そうだ、タキナなら気付くと思って黙っていたが、地下は二階もあるぞ」
……えっ、知らんかった。
ゼストの城、地下。
一番奥の牢屋から、横に逸れたところに、たしかに扉があった。
あれが地下二階への階段なのだろう。……気付かなかったぞほんとに。
地下二階へ降りる。
最初にこの地下に来た時のような、濃厚な魔力の圧を感じる、気がする。多分。
地下二階は、とても広かった。地下一階も広いのだが、複数の通路とその左右に檻がおかれているせいかとても狭く感じたのだが、こちらは大きな檻がいくつかだけだ。
大きな檻には、大きな魔物が入れられている。
どうやって連れてきたんだ? てかどうやって連れ出すんだこれ。
「こいつらはな、上のやつらより危険すぎるからここに閉じ込めてるんだよ。奥の方に転移装置があるから、テイムしたらそこから外に出たらいい」
「びっくりした。ついてきてたの」
「どうせ転移装置も言わなきゃ気付かんと思ってな」
うん、気付かないよね。でもなるほど、それなら心配ないか。
さて、魔物を物色する。
ほとんどの魔物は、こっちに殺気を向けてきている。ゼストではなく私に。
しかし、唸ったり吼えたりする子はいない。静かに狙われている。いいね、賢い魔物だ。
「オススメは?」
「みんなオススメではあるが……そうだな、欲しい能力はあるか?」
うーん、もうあんまりないんだよなあ。
スライム化、メタル化、飛行、疾走、ヒーラー、物理攻撃以外無効。あとなにが要る?
「あー、探知系があったら便利かな」
「たしかにそうだな。……それなら、こいつだな」
そうして連れていかれた檻には、大蛇が鎮座していた。
「こいつはナハトシュランゲ。探知系魔法と探知系スキル、両方を持っている。あと隠密と柔軟、俊敏もあるが…… 柔軟も俊敏もいらねえだろうが、探知は優秀だぞ」
魔法とスキル、両方にあるのか、探知系。
「よし、じゃあテイム。そして魔物生成からのぱっくんちょ! ……とりにく? 味が、薄い。タレがほしい」
「……目の前でコピーつくられて食べられたこいつの気持ちも考えてやれよ」
はっ、言われてみればたしかに。ごめんね大蛇くん。
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