166話、平和な日
86日目。
今日はのんびりしたい。
エリスの居場所に関しては、ほぼ特定できたみたいだが、少し難しいところにあるらしい。
それの特定を待たないと、次のやることができない、という言い訳もある。
迷宮都市。
難易度の低い迷宮から高い迷宮、侵入禁止の迷宮までいくつもの迷宮を抱える都市、というか独立国家。
その都市にある侵入禁止の迷宮の、いくつもある中のひとつにエリスは潜んでいるという。
しかもその、侵入禁止の迷宮というのがいくつかまとまった場所にあるようなので、更に特定が大変なようだ。ゼスト、頑張ってほしい。
完全に特定されたら、私が街を離れて迷宮都市にいくことになる。ゼストには迷宮都市側の心配をされた。なんで?
というわけで、今日は暇だ。
朝ご飯をみんなでのんびり食べて、アリスに仕事が多いと小言をいわれて、街の見回りをして、帰ってきたハヤトが夜なべしてつくったというオートマトン試作機をみて、ドーグがゴールドから買ったらしい新しい鍛治道具に見蕩れてるのをチラッとみて、ヒナと勇者パーティがゼストと模擬戦をしているのを観戦して、お昼前になった。
ちなみにヒナと勇者パーティ対ゼストの模擬戦は、ヒナと勇者パーティ側が全員戦闘不能になる前にゼストを一歩でも動かしたら勝ち、というルールだ。これまたちなみにだが、いままでの模擬戦はゼストが全勝している。
お昼ご飯には調理班の試作品、ケバブのようなものを食べた。
これはアリスからの要望で、片手で食べられ、手を汚さず、しかしボリュームのあるもの、というリクエストからの試作品だ。サンドイッチと並んで、最適解かもしれないな。いろんな味も楽しめるし。
ケバブといえば、あのめちゃくちゃ伸びるアイスも食べたいな。あれってどうやったらあんなにのびるようになるんだ? 長芋とかいれてるのか?
味の方は、なんというか、エスニックというのか。
スパイスの辛さとヨーグルトの甘酸っぱさが非常にバランス良く混ざりあったソースが美味しい。
肉は……羊っぽいな。少しクセがある。しかし、ソースがそのクセを上手く活かしている感じだ。
……最近、美味しいものばっかり食べているせいか、舌が肥えてきた気がする。体は全く肥えてこないからいいんだけど。こんなんで迷宮都市なんていけるのかな……?
ケバブを食べて、広場で休憩。
広場に等間隔でいくつか置かれている椅子には、仕事休憩だろうドワーフ、エルフ、獣人、ドラゴニュート、人間の男、女、いろんな種族が座っている。みんな丁度昼休みか。
子供が走り回っている。
ああ、こけた。膝を擦ったか、血が出てる。
すぐに魔物の警備兵がかけつけ、広場から遠くないところにある治療院に運ばれる。セチの最近の仕事は、子供の擦り傷の治療が多いそうだ。
「平和だなぁ」
まだ世界は混乱の最中ではあるのだが、この街だけはそんな事を忘れて平和であり続けてほしいな。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます