159話、魔王カオス戦


「それで?」


「ああ。こいつはタキナ。私たちの新しい主だ。それと、小さいほうがマリアだ」


「ほお。レギオン、貴様が主を持つか。魔大陸の王である貴様が。おもしろいな。タキナとやらは一体、どのような人物なのか。それに、マリアも面白そうだ。吸血姫にしては莫大すぎる力、制御が揺らいでるわけでもない。……神に近いものを感じるな」


お、鋭いじゃん。さすが研究者。


「今日はな、タキナがお前を討伐しにきた。エリスをぶっ倒すための前座だ、カオスよ」


「なるほどなるほど。我が授けられたエリスの加護、それを我を屠ることでエリスの元へ戻らせる。それを辿るという事か。ならば、今頃は勇者ライトも……」


察しが良すぎる。なんでこんなやつが、狂ったエリスの元に……?


「というわけで、討伐しますね。大人しくしてくれたら嬉しいんですけど」


なんにせよ、やることはかわらない。

美少女を手にかけるのはちょっと躊躇うが、そんなことより大事なものがあるのでね。


「我も死にたくはないのでね……抵抗はさせていただこう。いでよ! 我が作り出した最強の兵器! 我が生涯の全てが詰まった傑作! マジカルオートマトン・ジェノサイドフレーム!」


おお……! 最強の魔物とやらはカオスがつくったのか。ていうか、マジカルオートマトン。前日のアレもカオスの作品か?

だが、残念だ。


「テイム」


「いけ、マジカルオートマトン! 奴らを細切れにしてやれ!」


残念だけどね。

今日のテイム、まだ使ってないの。

マジカルオートマトンが魔物じゃなかったら、まだチャンスはあったかもしれないけどね。


「……マジカルオートマトン! ま、マジカル……嘘だろう? 命令系統が……最優先命令権、が…… た、タキナ、貴様、な、なにを……」


「テイムしました」


「テイムだと!? そんな、そんなわけはない! 最弱のテイマーなぞ、このマジカルオートマトン・ジェノサイドフレームの内包する魔力に勝てるわけが! エリスのおかげで混沌の力を増し、さらに増えた我の魔力をもすべて籠めた……テイマーのアデクですら足元に及ばぬほどの魔力を……勝てるわけが、ないのだぞ……? 弱らせてすらない……なのに……嘘だ……」


あーあ、美少女泣かせた。マジカルオートマトン・ジェノサイドフレームさんも私を責めた目で見てくる。やめろその目。AIのくせに主に反抗するな。


「さて、トドメさすか」


「鬼畜だな、タキナ」


「鬼畜なのです」


任務遂行するだけじゃん!? ……まあ、うん、罪悪感は凄いけど。


「どうしろっていうのさ」


「私がやるのです」


マリアが前にでる。トドメはマリアがやるってこと? 別にいいけど。

魔王カオスは、膝をついて泣いている。茫然自失というやつだ。マリアが目の前にいても、身動きしない。


「我は……天才で……最強……こんな……」


うーん……私なにか悪いことしたかな?

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