153話、再度霊峰の城へ


83日目。

昨日は結局、ギガントチキンをテイムしたあと、ドラゴスライムを生成してすぐに寝た。

今朝は朝ごはんをパスして、ドラゴスライムを食べてから霊峰の城にいこうと思う。向こうでお昼ご飯食べさせてもらおうかな。


「スライム、美味しいのです?」


「うーん、なんというか、酸っぱい水って感じ。美味しくは無い。冷やしたら美味しいかも」


「なるほどなのです。……私も魔物吸収ほしいのです」


「いや、霧にもなれて分身も使えて影に潜めて空も飛べて魅了と支配もできて、あとなにがほしいの」


「キラキラになりたいのです!」


「ゴージャスキャバリー食べるの!?」


キラキラ光る吸血鬼、やだな……

しかし、本当に魔物吸収は誰に渡そう。欲しがる子、マリアしかいないんだけど、でもマリアは強いからなあ。ドーグとかは欲しがりそうだけど。イカれ鍛冶師だから、自分で火を噴いたりしたいだろう。……魔物吸収を渡すのはドーグでいいか。メタスラも飲ませれば自分の身を守れるようになるだろうし。


ドラゴスライムを食べた私は、宙に浮く事ができるようになった。

馬ちゃんとの合わせ技で、宙に浮いて、爆速で飛べるようになった。コントロールはまだ効かない。何度か地面に突き刺さった。痛くはないが、服が汚れるのが難点。

もう服着るのやめて、体表面にメタルコーティングで鱗みたいなのつけるか? ……いや、服を着るのは人間である最後の砦だ。まだ人間でもいたい。鱗はやめておこう。





さて、ゼストとイサムとマナ、そしてマリアを連れて、霊峰の城へ向かう。

イサムのレベルが上がって、五人まとめて飛行と瞬間移動ができるようになっていたので、すぐに到着した。ちゃんと訓練してるんだな。


城に到着。やはり、ゼストは幻影に反応していた。詳しくは話していないが、なにかを察しているような雰囲気だ。


「ようこそおいでくださいました。まずは、控え室にご案内いたします」


昨日と違い、すぐ玉座ってわけじゃないみたい。

控え室に通され、飲み物とお菓子が出される。リンゴジュースみたいなものと、和菓子に近いものだ。美味しい。


「これは練り切りに近いわね。こっちはほぼ羊羹だし」


「練り切りって食べたことないなあ。あ、マリアちゃん、こっちのこれ、甘いよ」


「ん……甘いのです! ありがとなのです、イサムおにいちゃん!」


おにいちゃん!?? いつのまにそんな仲に…… ちょっとジェラシー。


和やかな雰囲気で半時間ほど過ごした後、応接間に移動すると言われた。

今日は玉座じゃないんだな。


応接間には、精霊王ラプラスと、日本人がいた。多分あの子が、聖騎士のリンさんなのだろう。


「良く来てくれた、ゼスト、マリア、イサム、マナ。昨日ぶりだな、タキナ」


「言われた通り、全員連れてきましたよ。なんにも説明してないですけど」


「そうか…… では、なにから話そうか。まず、勇者イサムの、神剣についての話から済まそうか」


ゼストの話と、新しい神の話は後回しか。まあ、簡単に済みそうな話から済ますべきだよな。

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