151話、二柱から四柱へ


「勇者ナクライサムには、人間の神を。ゼストには、人間以外の人種の神を。マリアには、魔族の神を。そして、魔神アグニタキナには、魔物の神を任せようと考えている」


おお。私がエリスのかわり、イサムがユリスのかわり、と漠然と決めていたが、四人で分担のほうがいいのか。たしかに、二人での管理で歪みが生まれたわけだからなあ。四人のほうがいいか。


「ゼストとマリアの合意がとれたら、それでいきましょう。私としては、あの二人なら安心して任せられると思ってますけど」


それこそ、私より適任だろうと思う。

ていうかさっきから気になってたんだけど……


「ところで、さっきから言っている魔神って、なんですか? 私はまだ神じゃない、つもりなんですけど」


「……君は、もうすでに神の領域にいるのだがな。自分では気付けないものなのか。エリスからのギフト、勇者の資格、アビスの意志、異なる世界の神々の守護、それに、神に連なるものたちの支配。神と成るには十分すぎるぞ」


うーん、心当たりがそこそこあるぞ。勇者の資格と異なる世界の神々の守護はよくわからないけど。

でも資格十分ならしかたないか。私はもう神レベルだった。


「ここまで話しておいてなんだが、事は簡単ではない。さしあたっては、ユリスとエリスを神の座から降ろすところからだ。エリスは君に任せる。今の君なら簡単だろう。が、ユリスはナクライサムだけでは厳しいだろう。彼のパーティ、四人全員が必要になる。今、君の街にいるのは二人だけだったよな?」


「ええ、二人。イサムとマナがいます」


「うむ。我が城で、聖騎士、リンを保護している。聖女アヤの居場所も、吾輩はわかっている。次回、ナクライサム、マナ、マリア、そしてできればゼストを連れてきてもらいたい。神剣の事も、次回話そう」


話すことばっかりだなこの人。


「わかりました。明日にでも連れてまた来ます」


「うむ。それでは……折角きてくれたのだ、食事でもしていかないか? 肉は出ないが、最高の菜食料理を供しよう。今は地上から無くなってしまった野菜や果物もでるぞ。……それらの種も、さずけよう」


やった! お土産ができた!

それならいただいちゃおうかな、食べたことない野菜に果物。


「やったねヒナ、美味しいもの食べられるよ! ……あれ?」


「獣人王の子、ヒナは医務室で預かっておこう。すまない、吾輩の神気はおさえておったのだが、話が長かったようだ」


被曝時間が長いと蓄積していくのね……ていうか、ヒナもやんごとなき身分だったんだ。知らなかった。

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