150話、世界の始まりの話?


「吾輩には、四人の娘がいる。長女のユリス、次女のエリス、四女のゼスト。三女は……君の知っている、レリアの母、アリア。アリアは消滅した故、生きているのは三人だが」


とんでもない情報が急に襲ってきた。つまりマリアは、神の血筋、って事になる。そりゃ強いわけだ。でもなぜ吸血鬼なんだ?


「吾輩は精霊王、精霊だ。だが、ユリスはハイエルフ、エリスは魔物、アリアは吸血鬼、ゼストは真竜との混血。それぞれ不死ではあるのだが、自らの意思で生命を終えることもできる。……アリアは、自らの力を全てレリアに託して生命を終えた。この世界のために」


世界、世界と。規模が大きすぎると混乱するのが私の悪いところかもしれないな、なんて思考逃避してみる。


「ユリスとエリスには、この世界の神としての役割を任せていた。自然と生きるエルフと、自然の一部となる魔物。それぞれの調停者としての神だ」


「だが、ある日、魔物とエルフの因子をもつ者が産まれた。交わったわけでもないのに、だ」


「それが魔族。最初の魔族、吸血鬼が生まれた」


「それから、次々と魔族が生まれるようになった。鬼、ドラゴニュート、巨人などだな」


「さらに、魔族とエルフの因子も交ざり、獣人、ドワーフ、小人などが生まれた」


「そのころに、魔族を統べるため、最初の吸血鬼と吾輩の子をもうけた。それがアリアだ。獣人やドワーフなどは、魔族の因子をもってはいるが魔物の因子が少ないとして、ユリスに管理を一任した」


「そして……ある日、異世界からとあるモノがこの世界に落ちてきた。それが、人間だ。君たちの星での事故によって、こちらに飛ばされてきたらしい。数十人ほどの若者は、この世界に馴染むようなスキルをそれぞれ持ち、瞬く間に増えていった」


「そこで、増えた人間を統べるため、精霊と同じく原初から存在する、真なる竜に頼み、子をもうける事にした。のだが……」


「エリスとユリスが共謀し、エリスが魔物と魔族の管理を、ユリスが人間とエルフ、そして獣人やドワーフなどのエルフに近い者たちの管理を決定した。魔族に関しては、アリアの管理を奪う形で、だ」


「だが、吾輩はそれに反対はしなかった。二人で管理できるのであれば、残りの二人は他のものの管理に回すことができる。そうすれば、よりよい世界を実現できる。そう、思っていたのだ」


「しかし、やはり、歪みは生まれた。吾輩が気付かぬうちに、エリスとユリスは歪んでしまっていた。ユリスは人族のみの繁栄を求め、エリスは魔の者のための世界を創り出そうと画策するようになった」


「このままでは、全てが破滅することになる。アリアと私は未来を変えるため、アリアは子を成し自らの能力を全て引き継がせ、私はゼストを未来への布石とした」


「そして今……ようやく、世界の破滅を回避するための準備が整った。魔神、アグニタキナ、勇者、ナクライサム。そして、ゼスト、アリアの血族であるマリア。この四人に、世界を任せる。その準備が、ようやく、整ったのだ」


……え、まって、ちょっとまって。


「えと、私とイサムが、エリスとユリスを倒して神になる、のはもう決まったことというか、まあ、いいんですけど。それより、魔神? とか、ゼストとマリアも、とか、その辺がちょっとわかんないです」


「うむ、それも少しだけ、説明せねばな……」


はよ説明せい。頭が痛くなってきた。ヒナは……もうなんも聞いてないぞ。ポカンとしてる。

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