149話、初代精霊王


この感じ、ゼストの城の時と同じだな。

隠された城。シチュエーションは同じだ。


「人が住んでるんすかね? 向かうっすよ」


ヒナはずんずんと進んでいく。怖くないのか。

仕方なく、私もついていく。ていうか私の方が防御は強いんだから前出るべきだよな。いいや、ステータス貸与しとこ。


さっきの幻影が代わりなのか、この城には城壁がない。

城の正面入口らしきところに到達。すると、ひとりでに扉がひらかれた。

中から、執事然とした人が現れた。


「ようこそ、旅人様。我が主、ラプラス様がお待ちです。早速でございますが、ご同行願います」


……なんか待たれてるらしい。敵対する理由もないし、ついていこう。


「お連れ様も、御一緒に」


「あ、はいっす!」


ヒナはポーっとしていた。顔が赤い。この執事がタイプなんかな。イケおじって感じ。おじってほど歳はとってなさそうだけど。


玉座の間らしき場所に通された。執事から作法は気にしなくていいと言われたが、最低限は作法らしき動きをしておこう。

玉座を見ず、執事に止められるところまで歩く。止まり、膝をつく。


見なくてもわかる。

ラプラスとやらは、神に等しい強者だ。


「面をあげよ」


たしか、一度目はスルーするんだっけ?


「旅人よ、顔をあげなさい」


執事から二度目のこえかけ。これで顔を上げていいのか。……ヒナは一度目で顔を上げていたようだ。まあ、うん、大丈夫。作法は国によって違うし。ヒナの顔に冷や汗が見えるが無視だ。


顔を上げた先、玉座には、男が座っていた。

少し、見覚えのあるような、ないような。見た事がないのは確実だが、似たような顔に覚えがある、気がする。


となりの執事が、声を上げる。


「初代精霊王、ラプラス様がお言葉を授けられる。傾聴!」


静かだった場が、更に静かになる。

壁際に人が詰めているのに今気付いた。えらい感じの人達と、兵士やら騎士やらがいる。


「ようこそ、旅人。君に会える今日この日を待っていたぞ。ゼストは、そちらで元気にやっているだろうか。ユリスとエリスの事も、話さねばならんな」


なんでゼストの事を、今?


「何故ゼストの名を、と思っているだろう。……アレは、吾輩の子だ。故あって孤独にさせてしまったが、全ては未来のため。親としては許されないことをしたが、世界の調停者としてはそれ以外に方法が無かったのだ。……許せとは言わんが、いずれ、ゼストもここに連れてきてほしい。吾輩は、謝罪せねばならん」


うーん、ゼストを捨てた親か。仕方がないとか言っても、やった事は最低だ。会うか会わないかは、ゼストが決める。私はこの話を伝えるだけだ。


「ゼストには言うだけ言っておきます」


「すまない、感謝する。……そして、ユリスとエリス、あの二人も、我が娘なのだ。今日はそのことについて、話させてもらう」


……えっ。

娘さんをください(吸収)、ってコト!?

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