148話、霊峰探索


82日目。

ゼストの城で朝ごはんを食べがてら、アリスに騎士の話をする。

今のところ人間の兵士などは少ないが、例えば人種であればエルフ、魔族であればドラゴニュートがいる。ロミオの騎士は私のではないので除外。

我が国の実態を考えれば、魔族の騎士、というのもありでは? とのこと。たしかに、それを理解できないような者を招くこともないか。

であれば、ヴァンに話を通しておこう。我が国の、魔物では無い者の騎士団。アグニ騎士団とでも名付けようか。

というわけで、ヴァンと、ドラゴニュートのうち戦えるもの二十名ほどを騎士とするため、いろいろ必要なものを見繕うようにアリスにお願いしておいた。統一感を出すための鎧の色を聞かれたので、黒にした。黒騎士とか呼ばれるかもしれない。かっこよすぎ。




朝の見回りを終えて、ひとまず街の真ん中にある広場の椅子に座って休憩中。

広場はそこそこ人通りがある。店舗も少しずつできてるし、露店エリアもあるのでちょっとずつ経済が回ってきている。


さて、昼からなにをするか。

ハイランドはまだ来ていないし、地獄迷宮はハイランド攻略のあとにすると決めてるので、今はあまりやることがない。


「そういえば、霊峰の真の主、とやらが居るんだったか」


イサムの武器の進化に必要な条件のうち、ひとつは私の血を与える、もうひとつが霊峰の真の主の心臓を貫く、だったはず。

どうせだし、探しにいこうかな。暇だし、霊峰に新しい発見があるかもしれないし。





早速、お伴にヒナを連れて山登り。

イサムはどこかに行っていた。忙しそう。

ヒナには馬ちゃんに乗ってもらって、私は自前の足で爆走。楽しいんだよこれが。


「いいっすね、足速いの。私も欲しいっすそれ」


「まずスライム食べて人間やめなきゃいけないよ?」


「そうだった忘れてたっす」


一応、魔物吸収のスキルオーブはもうひとつあるのだが。これは誰に使ってもらおうかな……


魔の森を抜け、霊峰へ。世界樹の杖の迷宮の前に着いた。ひとまずここから、どちらへ向かうか考える。


「この迷宮には嫌な思い出がある気がするんすよね」


「気のせいでしょ」


さて、どっちに向かうのが正解か……と思っていたところ、遠くの方に違和感を感じた。

ひとまずそちらへ向かう。目視だと遠いが、走るとそうでもない。やっぱり速さは楽しさに直結するね。


そこには、透明な壁があった。


「魔力の壁……幻影っすね。通り抜けられるっすよ、多分」


「え、怖くない? 大丈夫かな」


「迷宮のゲートみたいなもんすよ、大丈夫っす」


「こういうの苦手なんだよね……」


まあ、仕方ない。怪しいところはここしか見つけられていないのだから、探索するしかない。

意を決して、幻影の壁をくぐり抜ける。


そこには、大きな城があった。

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