147話、親の愛情


戦局は変わらず、騎士たちが圧倒している。

もう残りの敵も二割ほどまで減った。強いのが何体か残っているようだが、確実に一体ずつ削れていく。


「余裕ですねえ」


「ええ、我が騎士たちは精強ですので」


自慢の騎士たちらしい。いいな、騎士団。私の国には騎士は……うん、人の騎士はいないからな。戦士はいっぱいいるけど。

魔物の軍隊で事足りてるけど、外からの人を歓迎する時のための人間の部隊は必要かもしれない。スケルトンやらリビングアーマーやらに要人の相手させられないし。戻ったらアリスに相談かな。


本当に何事もなく、討伐が完了した。

ここからは剥ぎ取りをして、不要な肉などを処分するという。処分といっても、オークやオーガ、トロルなどの肉は食べられるので、余るのはゴブリンの肉くらいだ。それは私が貰うことにした。


「これくらいの強さなら頻繁に来てくれてもいいのですけどね、金になりますし」


やっぱりゴールドはゴールドらしいな。


戦功を認められた騎士五人と対面する。強そうなのと、強そうに見えないの、でかいのと小さいのがいる。選考基準はわからないが、他の騎士からの反発もないのでこれが正解なのだろう。


戦功一位には、剣術と回復魔法のスキルオーブを渡した。

やっぱり回復魔法は人気らしく、俺もそれが欲しかった! って声が騎士たちからあがっていた。たしかに、回復魔法使えたらとりあえずは食いっぱぐれないだろうからね。

剣術は、やっぱり騎士の子だからだろうか。

二位から五位は、回復魔法を三人に、身体強化を一人に渡した。身体強化を選んだ騎士の娘は、体が弱いらしい。身体強化持ちは体が強いので、つまりはスキルを得れば虚弱体質を打ち消せるのではないかという考えだ。やっぱり、子を想う親の気合いはすごいな。因みに身体強化を選んだ騎士、騎士団では最弱と言われていたらしい。よく頑張ったな。てことで特別にみんなに内緒でアイテムもあげちゃおう。


「はい、これ、内緒ね」


「ありがとうございます! ……これは?」


「着けてると常に体力と魔力が微量回復していくブレスレット。身体強化もちょっと魔力つかうし、これで相殺して使える時間を伸ばそう。娘さんにどうぞ」


「……ありがとう、ございます……!」


うんうん、見てて楽しかったし、せっかくの縁だからね。

うちの魔物vs魔物をみるのも映画みたいで楽しいけど、人間vs魔物もドラマみたいで楽しかった。


ゴールドに深海の宝物庫で見つけた酒瓶をひとつだけ土産に渡し、ハヤトとドーグに声をかけてから帰る事にした。

一緒に帰ると時間かかるからね、私だけダッシュで帰って家で寝る。

なんだかんだ夜も遅くなっちゃったな。でも楽しかった。

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