139話、次の目標
街に戻り、ゼストにいろいろ話しておこうと、とりあえず城に向かった。
城の執務室には、今日もゼストとベルゼがいた。部屋にもうひとつ置かれたテーブルには、アリスとロミオもいる。みんなめちゃくちゃ書類仕事してる。社畜か。
仕事しながら聞いてもらうかあ。
「……てことで、私とイサムはこの世界の神になるよ」
「…………ちょっと話が大きくてよくわからんかったが」
「スケールが大きすぎますわ」
「俺が聞いてもいい事だったのか……?」
「さすが我が主、と言いたいところですが……」
なんか反応悪いな。なんだなんだ。
「まずは魔王やら勇者やらの話だと思ってたら、世界やら神やらの話になっててスケールが追いつけないんだ。エリスがテイムできるとか、ユリスの首を落とすとか……こっちはエリスの支配下の魔王と勇者をどうするかで手一杯だぞ」
たしかに、勇者ライトとか、魔王カオスとか、そのへんをどうにかして、それからエリスをどうにか……って流れのはずだったのにね。
最終目標が急に設定された感じ。私のやる事は大まかには変わらないけど、スケール感だけ大きくなっちゃった。
「神になるのはわかった。よくわからんがわかったことにする。それで、神になってからはどうするんだ?」
それは……まだなんも考えてないな。
神になって、それから。
「いままでどおりかなぁ。街を盛り上げつつ、なんか神としてやるべき事があるならやる、って感じ。エリスを取り込めば、なにすればいいかわかるんじゃないかなーとは思ってるけど」
「行き当たりばったりだな……まあ、仕方ないか」
「急に神になれと言われたんですものね、大変ですわよねえ」
「大変なんてものではないだろうな。生まれてからずっとその地位の王子ですら、存外大変なのだから」
でもまあ、とりあえずは街のことが最優先だな。内政はここにいる皆に任せてるから、私がやるのは戦闘とかだけど。
「まずなにからしよう」
「その事だが、とりあえず勇者ライトと魔王カオスの解放からだな。エリスが魔物だというのなら、最終決戦自体は相見えさえすれば勝ち確定だからな」
たしかに、魔物ならテイム確定だもんな。……それを見越してこんなスキルをくれたのか?
「で、ライトとカオスはどうすればいいの?」
「レギオンからの情報だが、魔王カオスは地獄迷宮の十九層に居るそうだ。勇者ライトは、ハイランドにいるだろう。こっちは俺の推測だが、まあ外れてはないだろう」
つまり、ハイランドをぶっ潰して、地獄迷宮をぶっ壊せばいいんだな。あいわかった。
「ハイランドが先かな」
「そうだな。そろそろアレがこの辺を通るころだろう。間がいいな」
アンジュが落下してきたハイランド。アレがまた来るわけだ。で、その時に乗り込んで落とすと。
「わくわくしてきた!」
「……一応言っておくが、ハイランドを落とす、なんてことはしないでくれよ。アレは世界をまわって空から地上を目視で点検するための物なんだからよ」
それは知らなかった。ちゃんと必要なものなんだなあ。
目的は、勇者ライトの討伐、というか解放。
どうすればいいのかはわからないけど、まあなんとかなるか、な?
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