138話、スケールが大きい


「わ、私、昨日、エリスに会って、エリスの本体を倒して神になってって頼まれたばっかりで……イサムも神になるんですか?」


「ああ、エリスの分体に会ったのか。なら話は早いかも? エリスとユリス、彼女らの本体は、神としてはもう歪んでしまっているからね。そろそろ解放してあげたいんだよ。あ、君たちが神になった時には、次代に引き継げるようなシステムにしてもらう予定だから、その辺は安心してね」


「してもらう、って、誰にですか?」


「もっと上の神様に、だよ。簡単に言えばエリスとユリス、それらの上司に、ってところ。初代勇者として召喚される前、僕は他の世界でも勇者をしていたんだ。その時のツテ、ってところだね」


なるほど、複雑な話だな。ちょっとよくわからなくなってきたけど、とりあえず、私はエリスを倒して神になり、イサムはユリスを倒して神になる。って事か。……とんでもない話になってきたな。魔王を倒してめでたしの物語じゃないんか。


「ユリス様を倒す……具体的には、どうすれば?」


「簡単に言うと、神剣で首を落とせばいい。そうすれば、器から神気が溢れて、ただの精霊に戻るはず。溢れた神気は、神剣を伝ってイサムの体に全部吸収される、はず。他の神様からの話だから、真偽はわからないけどね」


首を落とす。心意的ハードルも高いな。がんばれイサム。


「それは、エリスを倒す時も同じですか?」


「神気が無くなるような事をすればいいってことだから、同じ方法でもいいんだろうけど。でも、エリスはタキナさんが取り込むんでしょ?」


取り込む。倒すんじゃなくて、私の力として、私のモノになってもらう。うん、そうなるだろうなという予感はある。


「そうなると……とりあえずは、テイムになるのかな。魔物吸収ってスキルがあれば、テイムしたエリスを自分に取り込めるはず」


え、神をテイム? それは……無理なのでは?

それに、魔物吸収なんて、そんなスキルは知らない。


「神様のテイムも、魔物吸収も、ちょっとよくわかんないです」


「ありゃ、魔物吸収はまだもってないのか。……そうかあ……じゃあ、深海の宝物庫もまだ開けてないのか」


なにそれ初耳なんだけど。深海の宝物庫、ロマンありすぎん?


「それは、いったいどこに……?」


「この大陸の近海、って事だけしか教えられることはないなぁ。海底を探索できれば、多分すぐみつけられるんだけど。深海の宝物庫には、魔物吸収と、魔物生成、あとは魔物強化のスキルオーブが入ってたはずなんだよ」


それなら、イカちゃんに頼めばなんとかなるか? 海底で息ができたり、暗い海をクリアに見られたりするような魔法や魔道具もあれば楽なんだけど。とりあえず、深海の宝物庫とやらをイカちゃん率いる海部隊に探してもらおう。


「とりあえず、話は簡単には終わりかな。なにか質問ある? 今の話に関係ない事でもいいよ」


「あ、じゃ、じゃあ、質問いいですか!」


「はいイサム君。なんでもききたまえ」


それから数時間、イサムは質問を続けた。

推しとタイマンで話せる機会、そうそう無いもんな。しかも偉人。

私は暇だったので、とりあえず昼寝した。畳、落ち着くなあ。部屋にほしい。

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