118話、カラフルな魔物


「今日はたこ焼きパーティがしたいのです」


「おー。じゃ、やろうか」


「みんなも呼ぶのです!」


74日目。

先日、マーメイドたちがとってきた海鮮の中に、タコがあった。

いままでも何度かとってきてくれていたので、タコやイカに忌避感のあった住民たちもほとんど食えるようになっているのだが、一番ウケがよかったのがたこ焼きだ。

とくに子供にウケた。粉物は全部ウケているが、たこ焼きは段違いだ。まるまるしたフォルムがいいのだろう。

それに、たこ焼きは制作体験がしやすいからね。子供たちは自分でつくりたがる。


というわけで、今日は夜ご飯の時間をたこ焼きパーティにする。

住民もできる限り参加するようにと、ベルゼに住民への伝達をお願いした。まあいつも殆どの住民がゼストの城で晩御飯食べてるけどね。そういえばお店ももうすぐ完成しそうだから、今後はそっちにも流れそうだ。お酒が飲めるお店だから、ドワーフは城にこなくなりそうだな。






朝ごはんのパンケーキを食べ終え、昼前まで散歩もとい街の視察をして、昼過ぎに迷宮へ向かうことにした。

今日もアビスの迷宮だ。十八層へ行く。

はやく二十層以降を見たいな。アビサル、ボイドときて、次はなにか気になる。

メンバーは、私、マリア、ヒナ、メタスラちゃん、メタスラ二号。

メタスラ二号はマリアのものだ。今は首に巻かれている。

今日の分でもメタスラちゃん増やすつもりだけど、ひとまずはテイムする魔物を見てからにしたいんだよな。即増やしたい魔物ってたまにいるからね。


十八層は、森だった。いや、森というにはカラフルだが。


「目が痛くなるっす」


「ちかちかなのです」


すごいチカチカする。慣れるまで大変そうだし、さっさと次にいきたいな……。


出てくる魔物が気になる。今のところ、よく見えない。


「いるのですよー」


いるらしい。見えない。マリアが指さしてくれた方向にもなにも見えないが……あ、動いた?

カメレオン、なのかな。体色がまわりのカラフルに溶けてわからなくなる。


「倒したのです。……倒したら茶色になったのです」


カメレオンみたいな魔物が、茶色くなって転がっている。強くはなさそうだ。いや、マリアが強すぎるからわからないけど。


「あんまりピンとこないなあ」


「街のどこに使うんだって話っすよね、コレ」


使える魔物しかいらない、ってことはないけど、今は違うよねって感じ。もっと有用な魔物がほしいな。


「あ、あれとかどうっすか? 食べられるのかな」


ヒナの指さす先には、果物を実らせた木の魔物、トレントのようなものが歩いている。うちにいるトレントとは似ていないが。


「テイムしてみるか……? 二体いるなら、あの実を食べてから考えてもいいかな」


「あ、じゃあ一応倒して試すっすよ。……よし」


カラフルなトレントは、ヒナの一閃で切り倒された。この階層で弱いなんてことはないんだろうけど、ヒナが強すぎてな。二人とも強いのに、五層ごとのボスにはまったく敵わないと。どんだけバランス悪い迷宮なんだよ。


「お、美味いっす!この実はすっぱくて、こっちは甘いっす。いろいろなってるっすよ。……もしかしたら、バフもつくんすかね。力が漲ってくるっす」


お、それは有用だ。

次見かけたらテイムだな。マジックトレントも何種類か実をつけるけど、こっちはまた別の何種類かだから。幅が広がるね。嬉しい。


また暫く探索し、カラフルなトレントをテイムした。

名前はマジックブントトレント。……ドイツ語と英語と……まあいいや。

この子はマジックトレントたちと並べておく。美味い果物を育てておくれよ。

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