117話、かっこいいの誘惑
とはいえ、アビスの迷宮の最奥にも、必要なものがあるという。
そしてなぜか、アビスの迷宮は私以外は私が到達した階層以降に降りられない。私専用の迷宮、みたいな感じだ。
ひとまず話し合いは落ち着き、今後はイサムと魔族たちが地獄迷宮を攻略、私がアビスの迷宮を攻略することで、邪神討伐計画を進めるということになった。
ひとまず解散し、73日目の昼過ぎ。
さっそく、アビスの迷宮に向かうことにする。
今日こそ十七層を攻略して、十八層に向かおう。
帰ってきてすぐだが、マリアが着いてきてくれる事になった。ヒナも含め三人と、メタスラちゃんとで出発だ。メタスラちゃん、もはやずっと人型だ。マリアの妹みたいな形になってる。メタリックだけど。
「メタスラちゃん、すごく活躍したのです」
「おお、連れていかせて正解だったかな? 」
「たすかったのです!」
どうやら役に立ってくれたようだ。
ああ、メタスラちゃんは増やしたいんだった。今日から魔物生成はメタスラちゃんにしよう。
ひとまず、マリア、アリス、イサム、マナさん、ヒナには渡しておきたい。
あとはできれば、ドーグやブライン、街のお手伝い用にもほしいか。ハヤトには……ハヤトに渡すと怖いな。うん。兵器になって帰ってきそう。信じて貸し出したメタスラ娘が兵器になって帰ってくるのやばい。元々兵器みたいな性能なのに。
アビスの迷宮、十七層。
今日こそ、ボスを見つけ出してクリアしたい。
ボイドスコーピオン、ブラックロックドラゴンなど、なんというかかっこよくて欲しくなる魔物が他にも結構いるんだよなあ。
ボスもかっこよかったらいいんだけど。
「あ、メタルワームっすね」
「えーーーかっこいい!ほしいんだけど!」
「なににつかうですか? 」
うん、使い道はない!けどかっこいいじゃん!
「あ、アーマードアルマジロトカゲっすね」
「やめて!ほしくなるから!」
絶対後日とりにくるから……!!
誘惑に負けずにしばらく進んで、ようやくボスを発見。この階層は危険だった。
「おお、かっこいいっすね」
「黒いのです。かっこいいのです!」
ボスはめちゃくちゃかっこよかった。誘惑我慢してよかった。アレが一番かっこいい。
「はい、テイム!えへ、かっこいい……!」
「乗りたいのです!」
「三人で乗れそうっすね!」
さて、魔物情報をみてみよう。
ラーヴァドラゴン。
火山の噴火のエネルギーによって生まれたと言われるドラゴン。羽はあるが飛行は苦手。
外殻は普段は黒色。熱線を吐く時と、砲弾のように跳ね飛ぶ時は、体内のエネルギーを爆発させるために外殻が赤く染まる。
爆発魔法をつかう。
実は冷たい水が大好き。だが体温がとても高いので、すぐに温くなってしまう。
「乗れるのです? 」
「うーん……ああ、背中は暖かいくらいだね? お腹側はめちゃくちゃ熱いわ」
「どれどれ……あちぃっす!ふー、ふー……火傷したっす!帰ってセチに治してもらわないと」
ということで、ひとまず十八層のゲート登録だけして、ラドラちゃんに乗って帰る事にした。
砂漠をこの子で歩くの、かっこよくて気分がいいな。
この子は戦闘班と……ああ、銭湯班にもしようか。冷水を湯にしてもらおう。
魔法で温めるより楽だろう。火魔法は鍛冶にも使うからな。
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