98話、燃えた町


さて、新しいロックドラゴンは、トロ二号……じゃなくて、ロックちゃんと名付けた。トロちゃんからめちゃくちゃ抗議されたので。


またまたドラゴンの素材やらを手に入れる事が出来たので、ここもまたドワーフと魔物たちに解体を任せる。今回のは成体だ。ヴァンのところの子かなぁ?


なんだかんだでいろいろ後処理が忙しかったので夕方になり、のんびり晩御飯を食べ、のんびり銭湯で湯につかり、のんびりとアリスと寝た。

なんかアリスがずっと背中向けてたんだが、まあ気にしないでおこう。





そして64日目。

ゼストとイサムが旅立ってから五日が経った。元気かな?


朝はアリスとのんびり食事。

アリスのガチャで、王家のフルコースが出たのでそれをわけてもらった。まぁ、悪くないなって感じ。

アリスは追加でいろんなパンを調理班から貰ってたけど。どんだけ食うねん。


街の見回りもそこそこに、今日はなにをしようか考える。

最近襲撃が増えてきたようだが、仮に私が居ない時に襲撃があったときはベルゼが魔物を指揮して戦ってくれる。ので、まあ遠出したりしても問題はない。

ということで、迷宮に潜るか。アビスの迷宮、十六層に行こうかな。ヒナは手空いてるかなぁ。


ヒナが同行してくれるので、私、ヒナ、そしてトロル君でパーティを組む。

トロル君は、最近ようやく武器を手にした。アダマンタイト合金のグローブだ。

トロル君の攻撃力でも破損せず、ちゃんと威力増強に効果のあるグローブ。当然、魔道具だ。なんか、前世の海外で流行ってる映画の敵役がこんな感じのグローブ填めてた気がするな。宝石がいくつかはめられるやつ……。





アビスの迷宮、十六層。

そこは、中世風の街並みの城下町だった。

ただし、全焼している。無事な家屋はほぼない。


「どういうコンセプトなんすかね」


「奥の城がゴールかな?あれも潰れてるけど」


城下町なので、奥には城が見える。

城壁も城も崩れているのだが。


「ま、進むっすよ。敵は……ああ、めんどくさいすね」


出てくる敵は、まずはスライム。

ただのスライムじゃなさそうだ。

燃えているスライムが数匹。炎は赤色ではなく、青から白に近い色をしている。つまり、めちゃくちゃ熱い。


「うーん、水……いや、ガス系なら危ないっすよね。遠くから地属性の物理で叩くのがいいすかねぇ」


ヒナの剣から岩が生えて伸びていく。

それをスライム目掛けて一閃。見事数匹のコアを破壊した。


「音的にもガス系っすね。遠距離物理でないと厳しいスライム、めんどくさいっすねえ」


普通ならめちゃくちゃめんどくさいだろうなぁ。


「気なら……うん、気でもいける。二人ならなんとかなりそうね」


気の爆発でも討伐はできた。

しかし熱い。熱波が飛んでくる。ある程度はヒナに任せるのが得策だな。


「めんどくさいだけで強くは無いっすから、サクッと進むっすよ」


「うんうん。城まではサクサク進みたいねえ」





燃え盛るスライムを討伐し続け、先へ。

一つ目の城壁を抜け、次のエリアへ入った。

城まではふたつの城壁があったので、このエリアを抜けたら次は城だ。


「燃える鎧……っすね?」


「え、こわ……」


城壁の向こうにいたのは、青く燃え盛る鎧。

アビサル・アーマーよりスマートな意匠の鎧で、手にはフランベルジュを持っている。当然、ソレも燃えている。


「これ、ウチでつかえると思う?」


「いやぁ……要らないんじゃないすか?炎が……」


うん、熱いだろうねぇ。夜も目立つし、街の巡回なんかもさせられないか。

じゃ、討伐だなぁ。


敵は数体で連携をとって襲ってくる。スライムと同じで近寄りづらいので、やはり遠距離物理で討伐する。が、生半可な攻撃では鎧にダメージがはいらないようだ。


「一体ずつ集中しないとダメっすね。気でヘイト分散お願いするっす。トロル君は……ああ、そのままいくんすね……?」


トロル君は直で殴りにいった。熱いのに大丈夫かと思ったが、全然大丈夫そうだ。火傷のダメージより、回復量のほうが大きいようだ。なにそれインチキじゃん。


「ふう……ま、これくらいなら大丈夫すね」


順調に削っていき、応援部隊も含めて討伐。倒すと火は消えるようだ。鎧の破片だけ持って帰ろうかな。素材かなにかが違うかもしれないし。


そんなこんなで城の前の城壁についた。大きな扉が半壊しているため、我々は通り抜けられそうだ。

さて、なにが待っているか。


「使えそうなボスならいいんだけど」


「使えそうなボスって言葉、絶対他所で聞かないすよね」


何故かトロル君も頷いている。

君はめちゃくちゃ使える子だよ。

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