97話、またまた襲撃
63日目、昼。
テイムはどうしようか、と思っていると、またベルゼから呼び出しがあった。
「魔物の襲撃です」
「また……?」
「また、でございます」
また襲撃だ……。
「次はどんな?」
「雑兵が五万ほど、ドラゴンが十ほど、そして……ロックドラゴンが二体でございます」
ロックドラゴン……マジか。おいおい、これは……
「大怪獣決戦しかないじゃん……!」
これはマウドラ君の初陣になるぞ……!
「腕が鈍るといけないすからね、私も久しぶりに本気でいくっすよ」
との事で、ヒナも参戦。
今日のメンバーは、ヒナ、マウドラ君、トロちゃん、フロストドラゴン二体。
このフロストドラゴン二体、元が同じだからか、めちゃくちゃ連携が上手いのだ。つまり、強い。
「さて、私はトロちゃんの上にいるから……マウドラ君を前で走らせて、ロックドラゴンの相手もしてもらおうかな。他は適当に、うち漏らさないように。出撃!」
「おうっす!」
いざ、出陣だ。
街から一時間ほどのところに、それらはいた。足は遅い。なんで一番遅いのにあわせてるんだろう。これなら足の早い魔物で揃えたらいいのにね。
ヒナはトロちゃんからおりて、神速で敵の群れにつっこんでいった。フロストドラゴンもそれに続く。
ロックドラゴンとその他ドラゴンは後方にいるので、それらとはまだ交戦しないだろう。
ひとまずマウドラ君には、ヒナを踏み潰さないようにだけ言っておく。あとは好きに潰していいよ。
ヒナとフロストドラゴンが敵と接触。
最前線の雑魚魔物は、ヒナの魔法を纏った剣の一薙ぎで、数十は消し飛んだ。
「うーん、威力過剰っすね。威力より範囲を……こうっすかね?」
次の一撃で、百ほどを消し飛ばした。
満足そうな顔をしている。
フロストドラゴンは、二体で同時にブレスを吐いた。
前線の魔物が凍る。後続は前には出られなくなり、後ろは急に止まらないため、そこそこの数の魔物が自滅していく。そこにまた二列のブレス。
これもなかなか見てて面白いな。二体の連携が綺麗だ。フロストドラゴン、映える。
マウドラ君は、最前線で一度立ち止まり、大きく息を吸った。
私は急いで耳を塞いだ。ヒナも間に合ったようだ。
ドッッ!と、音が爆発する。ブレスというよりも砲撃のような空気の弾が、音速を越えて敵を襲う。
たった一撃。たった一瞬で、一万はミンチになった。
「うわぁ……」
さすがに強すぎる。
そこからはもう、雑魚狩りだ。
ドラゴンは半数が先程のマウドラ君の空気砲で肉になったし、残りも向かってきた先からフロストドラゴンとヒナの餌食になっている。
フロストドラゴンが二体で動きを鈍らせ、ヒナが弱点属性で一刀両断。やっぱヒナは強いな。
そして、敵の残りも少なくなり。
あとの障害は、ロックドラゴン二体。
マウドラ君の元に、ロックドラゴンが一体、走ってくる。
大きい。大きいが、マウドラ君の足元にも及ばない。
グシャッ。
ロックドラゴンは、潰れて絶命した。
マウドラ君の踏みつけで、一体、討伐完了。
もう一体は、トロちゃんが相手させてくれとみんなに頼んだらしく、誰も手を出さない。
トロちゃんと、相手のロックドラゴンの一騎打ちだ。
走ってくるロックドラゴンにあわせ、トロちゃんも走って迎えうつ。
まずは突進勝負か。
ドゴォン!と鈍い音を鳴らし、二体が正面衝突する。やはり強くなっているトロちゃんが優勢なのか、相手側に二歩ほど押しやった。
それから噛み付き合い、殴り合い、尻尾のぶつけ合い……まさに大一番を繰り広げる。やはり、トロちゃんが一歩二歩先を行っている。絶対的な差ではないが、常に優勢だ。
ぶつかりあいを続けていると、スポン、と、ロックドラゴンの口の中から、なにかの肉塊が吐き出された。
瞬間、ロックドラゴンは動きをとめてしまい……トロちゃんのタックルをモロに食らって転倒。
死んではいないが、戦闘不能だ。トロちゃんの勝利だ。
「トドメは待って!ヒナ、あの肉塊調べてくれない!?」
「あいっす!…………レギオンのっすね!」
やっぱりか。
レギオンの欠片が、口の中にあったんだろう。外皮には付けられなかったのか。
つまりいま転がってるロックドラゴンは、もうレギオンの支配下にない。まあ、だからなんだって話ではあるけど……。
ちょっとどうするか考えていると、トロちゃんが、この子と友達になりたいと言ってきた。言ったというか、そんな感じの雰囲気を感じたというか。
うーん、じゃあテイムかな……トロちゃんには世話になってるし、わがままあんまり言わない子だし。たまには何かしてあげないとな。
「というわけで、テイム!よし、ヒナ、セチとスラちゃん呼んできて!治療してもらう!」
「了解す!ついでに勝利報告もしてくるっすよー!」
さてさて、戦闘は勝利。
収穫もあったので、良かったのではないか。
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