90話、人手が足りない


61日目。

朝ごはんは栗ご飯と、とうもろこしのお茶だった。絶妙な甘みが体に沁みる。


「たまにはこういう、地味だけど優しいのもいいわね」


「やすらぐのです」


10歳がやすらいどる。

アリスもヒナさんも、安らかな顔してる。この街はなんだかんだ激動だから、たまにはこういうのもいいよね。


さて、今日は午前は街の見回りをして、午後に黒いトラをテイムしにいこう。





というわけで、街の見回り。


丁度今日は手が空いているというアリスに、街を案内してもらう。


「まず、タキナ様の家とゼスト様の城を中心とし、そこから扇状に街を広げていく、という方針は変わりませんわ。今はまず1000人が住める土地の城壁が完成しております。つぎは10,000人の住める土地を囲いますわ。で、その次は50,000人、100,000人。縄張りはしておりますので、資材が揃えばすぐ取り掛かれますわ」


じゅうまん?そんなに住む??

と思ったが、難民の受け入れをコンスタントに行うなら10万はこえなくても数万は超えるだろうという。ゴールドとも話しているようだ。まあ、任せてるしなあ。

もちろん、住むだけじゃなくて、店やらの施設をたてても余裕のある広さでの10万人。……大都市では?


「最終的には、建国いたしますわよ? ここは国に属していませんので、好き放題できますわね」


てことは私は国王か。いまさら肩書きなんかなんでもいいけど、国王はちょっとむずむずするな。


「防衛力としては兵器を運用するために魔物をお借りしておりますが、バリスタやカタパルトなどは人族の住民も訓練しております。住民全員が、当事者として戦えるような意識改革をしておりますわ。武器の訓練も、週に一度は義務付けてますの」


守られてるだけでは危機感も薄れるからね。自分が住処をまもってるんだという意識は大事だ。

私に守られるだけではダメだと言うことだな。私はなんでもいいけど。


「各城壁には、堀をつくりますわ。水を張るのは魔物におまかせいたしますが、いずれは……魔の森の中に川があるそうですので、そこから引けたらと思っておりますわ」


川、あったんだ。じゃあそこまでトロちゃんとスラちゃんで道つくってから作業すればいいか。貸し出し許可、と。

堀に魔物を住まわせてもいいな。小型の魚系の魔物。そうすれば攻略もまた難しくなるだろう。


「あとは、そうですわね……ハヤト様のつくられた兵器も多数、配備してますわね。よく分からないものも多いですので、これは魔物が運用してますわ」


うんうん、わかんないよねいろいろね。迫撃砲とかグレネードランチャーとか、対物ライフルとかレールガンとか、他にも危ないものもあるし、替えのきくスケルトンとかで運用したほうがいいもんね。打ち上げ樽爆弾とか作るなよ危ないなあ。


「畑のほうも、拡張の準備をしてますわね。今は自給率が150%。現在拡張予定分を最大活用すれば、ひとまずは5万人分は賄えますわ。もう少しすれば、10万人分を賄えるようになりますわね。……そうなると肉の量が不安ですので、住民が増える前に二層班を増やしておいてほしいんですの」


なるほどな、今のところは余ってるけどそのうち足りなくなるか。

余ったら魔物に替えられるし、二層班を重点的に増やしてもいいな。カイザートロルを……いや、あの子だとミンチが増える。アグニ・オークか、ヘルキャバリー、アビサル・アーマーらへんを増やすべきか。それか、腕輪でトロルをつくっては送り込むか?ううん、トロルを生むならオーガウォーリアーのほうがいいか?難しいな。

畜産も進んでいるので、最終的にはある程度私抜きでも大丈夫な街になるはずだ。


「住民たちは皆、仕事につけております。むしろ人手が足りないくらいですわね。スケルトンもまた増えておりますが、このペースではまた足りなくなりますわよ?」


となると、リクを増やすのもありか。……いろいろ考えることが多いな。


とりあえず、スケルトン増やすためのリクを増やす、二層のための魔物をスキルか腕輪で増やす、あとはそうだな、魚ももう少し増やしたいか。海の魔物も増やして……人が増えると大変だなぁ。

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