35話、後片付け



魔王軍、というよりはただの数万の魔物の群れだったが、とにかく被害なく始末できた。

が、問題という程ではないような問題がひとつ。


「ひとまず、レアな魔物の素材は拾おうかのう。なんぞ魔物貸してくれんか」


「サソリ君とオークを貸しますね。気をつけて」


28日目、朝。

数万の魔物の素材の処遇が決まっていない。

放置していてもいいし、スラちゃんに全部たべてもらってもいいのだが、ひとまずは良さそうなものだけ集めてしまおうという話になった。

幸い、荒野側なので乾燥している。すぐに腐り出す事はないだろう。……ゾンビもいたにはいたが。

そしてこれはちょっと残念なことなのだが、食べられそうな魔物は居なかった。まぁ、レギオンの欠片が埋め込まれているそうなので、いたとしても食べられなかったか。


ま、とりあえずそれは住民に任せておいて。

私は、今日こそオアシス迷宮……じゃなかった、地獄迷宮の二層を目指そうと思う。


「馬ちゃん、レオ、メタスラちゃん、おいで。いくよー」


朝ごはんも食べたし、休憩もしたし、そろそろ出発だ。

今日の分の魔物生成は、帰ったら決めようと思う。





「馬ちゃん何回乗っても楽しいね……速い……」


数分で到着。毎度ながら速すぎる。


さっそく迷宮へ侵入。……暑い。

火山側に進みながら、襲ってくる魔物は馬ちゃんが突進ではじきとばしていく。


やはりというか、火山の裏に、二層への階段を見つけた。

階段前に居たガーゴイルのような魔物は、レオが粉砕。いざ、二層へ。





二層は、古びた遺跡のような場所だった、

地獄迷宮というからには地獄っぽいのを想像したのだが、一層に比べればあまりそれっぽくない気がするな。なにか意味があるんだろうか。


「魔物は……オーガにオーク、サイクロプス……の、色んな色がいる。レッドオーガは見当たらないけど、いないのかな」


青いオーガ、緑のサイクロプス、黄色のオークなど、煤けた色だが、カラフルだ。どういうものなのだろう?使える魔法で色分けしているのか?でもレッドオーガは魔法使えないし。


「戦ってみるか。レオ、お願いね」


まずは、青いオーガとエンカウント。

青いオーガのパンチ。レオより素早い。驚いたが、レオがしっかり見切って、返しのワンパン。レオよりは断然弱いようだ。


次は黄色いオーク。

レオのパンチを数発耐えた。が、反撃もなく絶命。体力は多いのかなー。


緑のサイクロプス。

詠唱らしきものをはじめたのを確認してから、レオがボコボコに。魔法使い系なのかな、緑は。


「RPGみたいな感じだなぁ。ご丁寧に色分けされて。でも一層より弱い気もするなぁ」


なんか拍子抜けだ。迷宮は下層のほうが強くなるとおもっていたのだが、思い込みだったか?


と、思っていたのだが。


「あ、なるほど。強そう」


もう少し進むと、様子がガラッと変わった。

先程までなにも装着してなかった魔物たちが、武器防具を着けている。

それも、強そうな……淡く光を放つ武具を。

そしてそれらが、数種合わせて襲ってくる。


「レオなら勝てる?メタスラちゃんもお願いしようか」


二体で攻める。

黄色いオークが二体、大きな盾をもって詰めてくる。

レオの攻撃を……はねかえした。


「な、やばい?」


カバーとしてすぐにメタスラちゃんの魔法が盾に炸裂。そちらは跳ね返す事無く、盾に直撃。光が消え、次のレオの攻撃で盾が破壊された。

どうやら、魔法をぶつければ物理反射の効果がきれるようだ。多分そう。


「二人なら大丈夫ぽいね、よしよし」


そこからは連携で、黄色いオーク二体を討伐。

後ろに控えていた杖持ちサイクロプスの詠唱が終わる前に、そちらに到達、討伐。


「二人ともつよいね……さすが。この盾は持って帰ろうか」


鎧は重いので放置して、盾だけひとまず持って帰ろう。これも重いけど……ドワーフが喜ぶかもしれない。


それからも、数度エンカウントし、全てレオとメタスラちゃんで殲滅。

盾持ち黄色オークとメイス持ち青オーガのコンビは大変そうだったが、メタスラちゃんの火炎魔法での目潰しで青オーガの隙をつくり、レオがそこを起点にボコボコにしていった。このペアは強いな。





まっすぐ奥に行くほどエンカウント率が上がっていったが、途中でプツッとエンカウントしなくなった。

先の方に、広めのエリアが見える。


「ボスエリア、かなぁ。アイツ、ボスだよね多分。……一層はボス居なかったと思うけど」


どうやらこの迷宮は、階層ごとにボスがいる、っぽい。一層は居なかったかもしれないが。いや、もしかして?


「馬ちゃんがボス?」


きいてみる。多分そうという雰囲気を感じた。……そうなのか。知らぬ間に一層ボスはテイムしていたのか。


二層ボスは、三面六臂の化け物だ。

阿修羅のように顔がみっつ、腕が六本。

目は一つずつなので、サイクロプスの阿修羅?のような感じ。

鈍い青と黄と緑の顔で、体は赤黒い。

剣、メイス、盾を片手にひとつずつ、両手に装備している。全て発光しているように見える。さらに、輝く鎧まで。隙が少なそうだなぁ。


「んー、まあ、今日もう帰りたいし……テイム!」


というわけで、今日のテイム、完了だ。ついでにボス攻略も完了。



アシュラ・サイクロプス。

地獄の迷宮の二層ボス。魔法を纏わせることの出来る武器防具で、様々な攻撃を繰り出す。

手先が器用。装備の手入れも怠らない真面目な性格。

がんばればみっつの目からそれぞれビームを出せるが、めちゃくちゃ魔力を使うので使いたがらない。

肉より魚が好き。



手先が器用。ドワーフかエルフに貸し出そうかな?


「じゃ、帰ろうか。アシュラ君いるからゆっくり帰るよ、馬ちゃん」


三層に降り、ゲート登録をして、脱出。

ゆっくり帰る。アシュラ君は大きくて馬ちゃんには乗れない。


今日の分の魔物生成でアシュラ君を増やしてアシュラ二号を生成した。

ドワーフは色んな意味で喜んでくれた。よかった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る