27話、新しいちから



23日目。

そういえば、昨日ヘッグちゃんをテイムした時に、何かが得られた感じがしたなと思い出した。

ステータスを見てみよう。多分ここだろう。



亜国瀧奈

ジョブ:テイマー

レベル1

ユニークスキル

:確定テイム

:ステータス付与(体力)(防御力)



これが、初日のステータス画面。

そして、今のステータスは……



亜国瀧奈

ジョブ:テイマー イドラ

レベル42

ユニークスキル

:確定テイム

:魔物生成

:ステータス付与(体力)(防御力)



「なん、なにこれ……?」


なんか増えてる。やばいにおいがするな?

ひとまず、みていこうか。



ジョブ:イドラ

従うものには幸福を



……ちょっと何言ってるかわからないです。

多分テイマーと関係あったり無かったりするのか?なんもわからん。イドラとか聞いたこともないし。

置いておこう。わからなすぎる。



ユニークスキル:魔物生成

配下に存在する魔物と同じ性質の個体を生成できる。

一日一回限定。



はい、強い。めちゃくちゃ強い。これ以上強くなってどうすんの?大丈夫?マジでいいの?

え、トロちゃんとかスラちゃんとか増やせるってこと?世界とれるんじゃないのか……?


ひとまず、マジックトレントを生成してみた。

果物がものすごく美味しいんだけど、人数に対して数が足りなかったので。畑のお手伝いにも数体欲しいんだよなぁ。……うん、増えた。瓜二つだ。すげえ。

果物もちゃんと美味しかった。よし。





さて、昨日の今日だが迷宮六層に行くことにした。

メンバーは、ヒナさん、マリ、メタスラちゃん。

レオはカイちゃんと三層で深海鋼集めのお仕事だ。


遺跡、草原、城壁、墓、神殿ときて、六層はなにになるだろうか。これもちょっと楽しみではある。





アビスの迷宮、六層。

ゲート登録をして、見渡してみる。


「街、ですかね」


「街、っすね」


六層は、中世ヨーロッパ風の街並みだった。


魔物は、見渡す限りではいない。家屋が多くて見通しが悪いのでよくわからないが。

奥に見える城のようなものに下層への階段があるはずだろう。ひとまずそこを目指そう。


「魔物、居ないっすねー。……気配はするんすけど」


「なんか来たらお願いしますね」





結局、城の前まで、魔物は居なかった。

家屋の中にも、寂れた家具以外はなにもなかった。金になるものでもあったらよかったのに。


で、城の前。城門は破壊されていて、城の庭?が見える。

そこには、魔物がいる。……多いな。


「ゴブリン、オーク、オーガ、サイクロプス、トロル……雑魚しかいないすねー。本命は城の中かな?」


数は多いが質は悪い。オーガもトロルもただの原種だ。……六層にもなってこれはないわな。中がヤバいのだろう。

ひとまず、庭の掃除はヒナさんにまかせる。


「せぇの!……この武器マジで気持ちいっす!うおお、タキナさんのおかげっすよ!」


100か200ほどいた雑魚は、一撃で全て吹き飛んだ。炎を纏ったようで、全て灰になって散っていった。


「さて、中入るっすよー」


「一応、気をつけてくださいね」


道が空いたので、城に入る。





「きれーすね」


「城って感じですねー」


「王城に似てる気がするっすね」


召喚された日に見た城は確かにこんな感じだった気がする。……似てるな?


さて、六層、街の奥、城の中。

多分階段はこの城のどこかにあるだろう。下だとは思うけど、もしかしたら上にあるかもしれない。迷宮は不思議なので。


ホールには、魔物は居なかった。が、通路には魔物が見受けられる。


「あれは……ノーブルゴブリン?存在したんすね」


どうやら珍しい魔物らしい。

聞くところによると、ゴブリンキングより強い特殊個体らしい。キングより強いノーブルってなに?と思ったが、支配形態の違いがあるそうで。まあ強いなら強いでいいや。どうせヒナさんより弱い。


ただ、知能がとても高く、魔物との意思疎通がとても上手い種族だそうなので、とりあえず一体は確保しておこうと思った。


「というわけでテイム!よろしくね、ゴブちゃん」



ノーブルゴブリン。

真の王に仕える高貴なる魔物。

知略に優れ、軍勢の指導者としての立ち回りが得意。

剣と魔法もゴブリンにしてはそこそこ使えるので、決闘にも強い。

プライドが高い。酒には弱い。



「なんでもテイムできるんすか?」


「一日一体、魔物だけね。昨日の子も魔物だったから」


「はー、イカサマっすね」


「いやほんとにね」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る