25話、ドワーフからの要請
「リッチ・マジシャンをテイムしてきてくれんか」
朝ごはんを食べて、軽く街を散歩していた時。鍛治工房を纏めているドワーフに呼び止められ、そうお願いされた。
どうやら、鍛冶場の竈の改良がしたいらしく、改良の為にはその竈で出せるほどの熱が欲しい、というジレンマがあるそうで。
骨ドラ君だとサイズが大きすぎるので竈造りには向かず、メタスラちゃんだと練度が低く。マリくらいの魔法練度の火属性使いが今のところいないので、少し困っているらしい。
無理をすれば、骨ドラ君でもいけなくはないそうだが、そうなると危険度が高まるというので。
深海鋼の合金の加工をする為には、どうしてもその竈が必要とのことなので。
21日目、昼。
「三層下、やっぱレオとマリだけで十分だなぁ」
三層にきた。今日の目的は炎使いのリッチ・マジシャンのテイムだ。
目当て以外のリッチも鎧オーガも、レオとマリのコンビネーションでボコボコにしていく。
リッチのマントは魔術道具の凄くいい触媒になるそうなので、ついでに集めておくことにした。
鎧オーガのほうは……よくわからんから放置だ。
「氷、地、地、水、雷、氷、地……なかなかこないなぁ」
火属性がなかなかこない。やはりアンデッド、火や光は難しいのかな?
と、思っていたが、マリのいうところによると、単純に火が好きなリッチが少ないだけらしい。なにそれ?火かっこいいのに?
そうしてしばらく殲滅していると、ようやく火属性を見つけた。
「ふう、テイム!名前は……ヒマリでいいか」
リッチ・マジシャンでマリだったのだが、火属性なのでヒマリ。
やること済ませたので、帰ってドワーフに引き渡そう。君も今日から家族だ。
帰宅、ドワーフにヒマリを貸し出し、夕方。
商人さんが来た日から、カイちゃんには人里側を空から偵察してもらっているのだが、そちらから人がむかってきているらしい。
ドワーフでもなく、ゴールドさんでもなく。ただ、人数は一人だそうで。多分頭のイカれた人なんだろうなと思いつつ、迎える事にした。
「こんばんは」
「ウス、こんばんは!ドワーフ共がいる新しい街ってのはここで間違いないすか!」
目の前に、一人。魔の森のエリアにたった一人で乗り込んで来たのは、獣人の女性だった。
……猫か、もしかしたら虎とかか?間違えたら失礼なのかな?
「えっと、獣人……さん、ですよね?」
「ん?……ああ!猫獣人であってるスよ!ドワーフの、えーーっと、ドーグだ、ドーグさん呼んでくれたら私の事わかると思うんすけど」
というわけでドーグを呼んできた。
どうやら彼女は、旧ドワーフの村の武具のお得意様で。冒険者をしているらしい。特級という階級らしいが、よくわからない。多分凄い。
で、今回は武具がぶっ壊れたので新しく買いに来たそうだ。
「いうてつくるのに一週間はかかるのじゃ。ひとまず適当にサイズのあった武器だけもって、適当に滞在するといい。タキナ、良いよな?」
「ええ、まあ。仕事するなら」
「仕事!狩りとかなら任せてくれていいすよ!」
戦闘力には自信があるらしい。特級て凄いんだろうなー。
明日から、迷宮についてきてもらおうかな?
「というわけで、これからひとまず一週間くらい、よろしくお願いするっす!私は猫獣人のヒナ。大剣使いのソロ冒険者っす!戦闘だけは得意ですんで、任せてくださいっす!」
とのことなので、今日はひとまず、ヒナさんの歓迎会をすることにした。
二層産の肉をたっぷりと振舞った。ヒナさんはめちゃくちゃ喜んでいた。
そういえば、魔物たちには全く反応しないなこの人。スケルトンが肉を焼いていても当たり前のように見ている。
……やっぱりここに来る人はみんなイカれてるのかな、と思った。
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