12話、いらない子なんていない
召喚系、か。
味方のリッチが、相手のリッチに合わせてスケルトンを召喚した。
……はっけよい、のこったのこった。
はい、西軍の勝ち。
……どうしよう。あっちもこっちも呆然としている。
無駄に知能が高いせいで、敵同士なのに何故か互いに動揺している。
え、戦っていいやつ? それとも互いに戦わずに引いたほうがいい? みたいな空気を感じる。ていうかスケルトン召喚以外できないの? ……いや、引いてしまってもいいんだけど。でもなー、今日はもうそろそろ帰るつもりだったから、今日の分のテイム使いたいんだよなー……よし。
「えっと、テイム!」
はいテイム完了。なんだかあっちもホッとした雰囲気を感じる。気まずかったよね。
さて、魔物の情報をみよう。
リッチ・クリエイター。
魔力を練り上げることで、アンデッドモンスターを作り上げる事ができる。
込める魔力次第で作れるアンデッドのランクが変わる。杖は魔力タンクの役割をしていて、杖に魔力を貯め込んでおけば自身の最大魔力以上の魔力によって、より強力な魔物の生成を可能にする。
実はリッチ・マジシャンよりも高位の魔物。
さっきのモンスターハウスのスケルトンは全部このリッチ・クリエイターがつくったものらしい。他の魔物はなぜ作らなかったのかと問うと、部屋にギチギチに詰めたら何匹入るか試したかったからだという。あまりにも挑戦者が来なさ過ぎて気が狂ったんだろう。
そしてこれは大事なことなのだが、リッチ・クリエイターが作ったアンデッドは、壊されない限り消滅しない。これはとても重要な事だ。
先程拾ったネクロマンサーの腕輪は、召喚してから一日で消滅するらしい。あくまで戦闘のオマケ道具だ。
つまり、配下を増やし放題ってところだ。
リッチ・クリエイターの魔力で生成できるアンデッドは、以下の通り。
一日分で、スケルトン五体、ゾンビ三体、ゴースト三体、スケルトンウォーリア一体、ワイト一体。
二日分で、スケルトンナイト一体、バンシー一体。
四日分で、レイス一体、リッチ一体。
そして、一年分と自身の魂をかけると、ノーライフキングを作れるそうだ。
実用的なのはスケルトンとスケルトンウォーリア、スケルトンナイト、リッチかな。
スケルトンは単純作業に強そうだ。畑の開墾作業とか、ものを運ぶだけとか。ドワーフに上手くつかえないか相談しよう。
スケルトンウォーリア、スケルトンナイト、リッチは単純に戦力になりそう。
「当分はずっとスケルトンつくって並べておいて貰おう。そのうち何かに使えるでしょ」
今日の魔力はさっきのスケルトン生成で枯れたらしい。運がないねえ。
さて、帰宅。宅はまだないが。
ドワーフ達にリッチ・クリエイターを紹介した。
まぁ、うん、わかってたけど狂喜乱舞。リッチ・クリエイターも引いてる。ごめんね、明日から君はこいつらの輪の中だ。
ドワーフのドーグは明日にでも来るだろうという事なので、次に必要なものを考えておかないと。毎日状況が変わりすぎて、前回欲しかったものが要らなくなったり、前回要らないと思ったものが大量に欲しくなったりしてしまう。
細かいことは明日のドーグの持ってくるものをみてから考えよう。
今夜は蜘蛛ちゃんが鳥のような魔物を持って帰って来てくれたので、焼き鳥風にして食べた。
当然、塩しかないが。今日も美味しかった。蜘蛛ちゃんが持って帰ってくる肉は全部美味しい。そんなことある? 私の事思って美味しいのもってきてくれてるってこと?愛じゃん。
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