11話、今ならリッチなオマケつき。



翌日、九日目。

今日も各々の役割を指示して、私はダンジョンに潜ることにする。

……食料調達力がちょっと不安になってきた。肉とってくる魔物を増やしたいな。


サイクロプスは、労働の対価としてドワーフ達に食料をわけてもらっている。

ロックドラゴンとカイちゃんは揃って荒野側におでかけだ。

サソリ君はドワーフの1人を伴って魔の森で採集だそうだ。

蜘蛛ちゃんはいつもどおり肉集め。

トレントはなにもしていない。


ダンジョンには、やはりオークとリッチを連れていく。

一番弱そうな私がタンク、オークがリッチの護衛、リッチが魔法火力。

多分これが最適解。私はこわいけど。


「今日は誰がいるかなぁ」





ダンジョンに潜り、探索開始。

昨日とちがい、ぽつぽつとスケルトンのような魔物が現れる。リッチが出るまでもなく、オークが骨を粉砕していく。

昨日と今日でなにか変わったのだろうか。

わからないが、まあ少しだけ警戒しておこう。


半時間ほど探索した。

迷子にならないように進もうと思っているが、今のところほぼほぼ一本道だ。脇道も直線のみで行き止まりになるのでわかりやすい。

ガンガン進んでるうちに、先の方に部屋らしきものが見えた。広そうな空間だ。


そして、その部屋には、スケルトンがみっちりと詰まっている。


「え、こわ。モンスターハウスってやつ?」


近づいた。

スケルトンがこっちに気付く。……そして、全部がこっちに走ってくる。


「え、え、え、こわいこわい! ねえ、痛い! 痛くないけど! オークはやくなんとかして! リッチ! 私ごとでいいから魔法で! はやく! こわいこわい! スケルトンこわい! ねえーー!!」






スケルトンにボコボコにタコ殴りされること、多分十分くらい。ようやく全て粉砕できた。

もう当分骨は見たくない。……リッチが少し悲しそうにこちらを見ている。


そして、なにも居なくなった部屋に入る。

中央には、宝箱が置いてある。

これが、モンスターハウス攻略の報酬なのだろう。


……こわいのでオークにあけてもらう。

剣でつついて、剣であけてもらう。爆発するかもしれないので、伏せてから。


爆発はしなかった。罠も、多分ない。……よし、見るか。


「……おお、なにこれ? わかんない」


中には、腕輪が入っていた。

手に取ると、なにやら頭に文字が浮かび上がってくる。



ネクロマンサーの腕輪。

装着すると外せなくなる呪いの腕輪。

装着すると、こめた魔力に応じて死霊系の魔物を召喚できる。

召喚のたびに寿命が縮む。



……はい、リッチ。これあげるね。

ということで、戦力増強だ。リッチは外せない腕輪を装着した。

リッチには寿命はない。死んでいるので。だから外せない以外のデメリットはない。多分。リッチも喜んでるしいいでしょ。





もうすこし先へ進む。まだぽつぽつとスケルトンがわいている。

そしてそれらを粉砕しながら進んでいくと、新しいモンスターを発見した。


「あれは……あれもリッチ? 攻撃見なきゃ」


先にいるのは、ローブを羽織ったリッチのような魔物。多分リッチなのだろうが。なんか雰囲気が違う。


……あいつ、杖をもってる!

杖をこっちに向けて、なにかカタカタと顎を鳴らしている。詠唱か?

そして詠唱らしきものが終わると、杖の先からなにかがドロっと出てきて……形をつくりだす。


「え、まじかー……」


それは、スケルトンの形になった。


どうやら、召喚系のリッチのようだ。


……


「それ今出てくる……?」


もういらない。それが今の、正直な感想だった。

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