9話、友達紹介キャンペーン
この世界にきて一週間目。
今朝はドワーフ集団にサイクロプスを貸し出し、家造りに役立ててもらう事にした。
蜘蛛ちゃんとサソリ君とオークには食料調達をお願いした。気にしなくてもいいとは言われたが、焼いた美味しい肉はみんなで食べたいので。
私は、ロックドラゴンの背に乗って荒野の方へ向かう。
朝イチに、ロックドラゴンに着いてきてほしいと言われたのだ。言葉ではなくて、そんな気がしたというか、通じ合うそれでわかったのだが。
荒野。なにもない。本当になにもない。
ここで待っていると良いと言われ、ロックドラゴンは立ち止まった。
私はその上で果物を齧る。暇だ。
……半時間ほどたった頃、ロックドラゴンが動いた。心做しか嬉しそうだ。
遠くから、なにかが飛んでくる。ロックドラゴンに乗っているからわかりづらいが、普通にデカい。空飛ぶ魔物だ。
「キュオアアア!!」
「うわあああこわい! なに! ねえロックドラゴンこの子なに!」
一声鳴かれたが、どうやら敵対心はないらしい。ロックドラゴンに対して、私と同じようなことを言っているのだろう。ロックドラゴンの顔あたりでホバリングしている。
……どうやらこの子、カイザーグリフォンは、ロックドラゴンの友達だそうだ。先に言って欲しかった。ビビるので。
「で、テイムしていいの? ねえ?」
「キュオア?」
ロックドラゴンとしては、テイムして同じ仲間にして欲しいそうだが。
カイザーグリフォンはイマイチわかってないというか、どっちでも良さそうな感じ、らしい。
「じゃ、いいかな? はいテイム。……空飛ぶ魔物、はじめてじゃん?」
カイザーグリフォン、ゲットだぜ。
カイザーグリフォン。
グリフォンの上位種。グリフォンと違い、群れずに単独で行動する。
個体数は少ないが縄張りが広い。
縄張りには侵入するだけなら見逃してくれるが敵対すると容赦がない。
どうやら、ロックドラゴンの背中の老廃物を食べてくれていたらしい。ドラゴンの体は全部が役に立つんだなぁ。
サイズだが、胴体は大きめのトラくらい。結構大きい。そして羽がはえていて、それがめちゃくちゃデカい。羽のせいで五倍くらいおおきく見えてしまう。
背中に乗って飛ぶこともできそうだ。これはまた、探索が捗るな…….。
主食は肉で、内臓を好む。サイクロプスと蜘蛛ちゃんは肉の方が好きで、サソリ君は内臓が好きだったので、上手くわけあってほしい。……食料調達要員、増やした方がいいかなぁ。
名前が長いのでカイちゃんと呼ぼう。
テイムしてからもカイちゃんと共にロックドラゴンの背に乗り、砂漠へ向かい、ロックドラゴンの食事を眺め、拠点に戻る。
丸太が大量に並べられている。どうやらサイクロプスが物凄く役立ったらしく、家造りを早く進められるようになったらしい。ありがたい。
ドワーフ達と話をした。
マジックトレントに生ってる実が、人間の間では超高級フルーツとして取引されていたり、サソリ君の毒を、人間の薬師が抗生物質をつくるために求めているのを教えてもらったり、いろいろと話をした。
どうやらこのあたりは宝の宝庫らしい。ハイリスクハイリターン。だがリスクがあまりにも大きすぎて、誰もこない。……そりゃまあ、厄介払いをするには丁度いいだろうな本当に。
このあたりに住みたいというドワーフもいた。
どうやら、この辺には魔物がでなくなっているらしい。よくよく考えればそれはそうか、凶悪な魔物たちが徘徊しているんだからな。全部私の配下だけど。
とくにロックドラゴンが居るのが大きいらしい。普通の感性をもった魔物ならここを襲う事は絶対にない。殺されたくないからだ。当たり前だ。
多分普通の感性をもった人間もここには住みたくないだろうが、目の前にいるのはイカれたドワーフたちだ。安全とか安心とか常識とかより、知識とか技術とかのほうが大事なのだろう。
住む事に関しては、ドーグと相談して決めてくれ、と言っておいた。私と魔物達の占有する範囲の外側なら好きにしていいよ、と。
そのうち、このあたりに、イカれたヤツらの街が出来るのかもしれない。そうなれば、私の生活水準も上がってとてもいいのだが。
期待を胸に、今日も焼肉パーティをした。
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