第3章 カイル・アルライン

カイルは、剣の先を見据えて、鋭い突きを放った。


間一髪、パルキンは避けると、第二波の攻撃をカイルの上段へ繰り出す。


カイルは、巧みにその攻撃を剣で避けると、下段に潜り込み、見事、パルキンの体についていた目印の赤いリボンを切って落とした。


「さすがでしたな。」

言う事もなにもないパルキン。


「ひさしぶりで、腕がなりました。師匠。」

「いや、そなたは、いまや、国の守り神になられたお方だ。わたしの誇りです。」


そういい終わるや否や、カイルの家臣、

イザベラが走ってきて言った。

「カイル樣、先程、タヤン・ナカが、何者かに魘われ、命を落されました。」


「タヤン・ナカが。」

カイルは、信じられないという表情をしている。


「なにかの間違えだと良いが。」

パルキンは、茫然とするカイルを見つめた。


◆◆◆◆ ◆◆◆◆ ◆◆◆◆ ◆◆◆◆ 


タヤン・ナカの葬儀が執り行われている教会は、城のすぐ北東の場所にあり、大きな佇まいを見せている。


長い参拝の列は、町の途中まで続き、この国の魔術の長として、尊敬をされてきた、タヤン・ナカの功績を表しているかのようだった。


カイルは、パルキンと共に、大きな祭壇のそばにいて、検屍官のホーキンに向かって話している。


カイルは、タヤン・ナカの死因について、聞いている

「そうだと言うんですね。」


ホーキンは、言葉を選びながら言う。

「はい。あの傷は、広範囲なので、魔法か、火を仕掛けられたに間違いありません。」


「火を仕掛けられた、でも、屋敷が燃えていないのは、なぜだろう。」

カイルは、腕を組んだ。


「なので、魔法の可能性があると。」

ホーキンは、悔やむように言った。

「考えられると思います。」


「見回りのメッソンに聴いたことだか、

タヤンのいた部屋からは、なにも盗まれていなかったとのことだ。個人的な恨みを買うことはタヤンには、考えづらいこと。」

カイルは、まっすぐパルキンを見た。


「いずれにしても、魂の浄化の儀式で、タヤンの言葉を聞ければ、あきらかになるでしょう」

パルキンは、祭壇に振り返った。

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