第4話 祇園祭

品野の夏祭りは祇園祭と呼ばれていた。何故祇園なんて言う名前がついているのか詳しくは知らないが、むかし品野で疫病が流行ったのかっもしれない。疫病でなければ花街のようなものが昔あった名残なのだろうか。今となってははっきりしないが品野中学校の子供たちは祇園祭を楽しみにしていた。

品野の中心を走る国道を通行止めにして山車のパレートが行われ人でもかなり出る。

一台だが山車も出て疫病除け・商売繁盛を祈願する。午後6時から国道が通行止めになり、山車のパレードが始まる。子供たちが笛や太鼓でお囃子を奏で、本通りの提灯に火がともされて祭りは盛り上がっていく。品野の町はこの時とばかりに賑わう。

「先生も来ない。」

「彼氏がいるだろ。」

「いてもいいじゃない」

「そんな野暮な真似はしたくないよ」

「何気にしてるのよ」

「するだろう」

「しなくていいってばあ」

「お前が良くても、俺が気にするわ」

「気にしすぎだってば」

「いこうよー」

「いやだ」

「いい子だから」

「こどもかー」

「中学最後のお祭りだぞ」

「普通彼氏といくだろう」

「彼氏じゃないもん」

「はあ、彼氏だって聞いたぞ」

「彼氏なんてひとことも言ってませんけど。」

「じゃあなんなんだあ」

「お友達?」

「?はなんなんだぁ」

「チョッと違うかな~という気持ち」

「なんじゃそりゃあ」

「中学最後のお祭りなんだから、中学の友達と行くように以上。」

「何それ」

俺は茂登子のことが好きだった。でも中学生同士で付き合うのが一番だ。ここは親父の出る幕じゃない。

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