第2.1章:異なる世界
if:ずっと一緒に 前編
■title:ネウロンにて
■from:兄が大好きなスアルタウ
ある日突然、「悪い人達」がやってきた。
その人達は、
悪い人達は
ジュウ以外にも
大人の人達が「悪い事しないで」ってお願いしにいっても、殴られるだけ。ヒドい時は銃や機兵で殺されちゃうこともあるらしい。
そういう人達がネウロンにやってきたと聞いて、ボクはぶるぶると震えていたんだけど、にいちゃんは「そんなやつら、オレがやっつけてやるっ!」と言った。
「でも、にいちゃん……ぜったい危ないよ……?」
「アル、お前、にいちゃんが悪人に負けると思うのかっ?」
「う、うーん……。負けることもあると思う……」
「なんだとぅ。にいちゃんの強さを見せてやる! コチョコチョ攻撃だっ!」
「わっ! ふひゃっ! やめてぇ~……!」
怖い話も聞くけど、にいちゃんが傍にいてくれる。
お父さんとお母さんも、ボクらがいる保護院の近くに引っ越してくるらしいし……危ないことあっても、きっと、平気だよね?
そもそも、悪い人がホントにいるかわからない。
にいちゃんが毎日ヤンチャしてるから、にいちゃんを大人しくさせるために大人の人達がウソついてるのかも。
そう、思ってたけど――。
■title:ネウロンにて
■from:兄が大好きなスアルタウ
「この世界は当たりだな!」
「抵抗らしい抵抗がないから
「おいッ! さっさと歩け! ガキだからって容赦しねえぞ!!」
「「「うぇ~ん……!」」」
ウソじゃなかった。
ボクらの保護院にも、空飛ぶ船がやってきた。
船から銃を持った悪い人達が下りてきて、パンパンと鳴らして皆をビックリさせていた。大人の人を殴って、皆を脅し始めた。
「あ、うぅぅぅ……」
「…………」
ボクとにいちゃんは、何とか捕まらなかった。
皆とかくれんぼしている時、にいちゃんと一緒に隠れていたから……何とか捕まらずに済んだ。けど、他の人は……皆捕まっちゃった。
縛られて、広場に並べられてる。
殴られた人、いたそうにしてる。
どうしよ……どうしよっ……!
「に、にいちゃん……町まで、助け……呼びに行こ……?」
近くの町まで行けば、誰か助けてくれるかもしれない。
人がいっぱいいたら、悪い人達もビックリして逃げていくかも……。
「いや、ダメだ。助けを呼んでる間に、皆が連れて行かれる」
だからにいちゃんは、「オレが戦う」と言いだした。
フンフンと鼻息を慣らしつつ、ホウキを手に立ち上がった。
「アルはこのまま隠れてろっ。悪いヤツらは、にいちゃんが全部たおす」
「む、ムリだよぉ~……」
「大丈夫。にいちゃん、『虹の勇者』を読んで強くなってるからなっ」
「にいちゃ~ん…………」
にいちゃんは走って行っちゃった。
走って行って、直ぐに「ぎゃあ~! はなせ~!」って声が聞こえてきた。
に、にいちゃん……負けちゃった。
悪い人にホウキを取られて、逆に叩かれてる。遊ばれてる。
「威勢の良いガキだ! テメエはどっかの資源採掘場に売れそうだな!」
「うっ! わあっ!? や、やめろぉ~……!!」
「やめてっ!!」
にいちゃんをイジメてた悪い人に体当たりした。
悪い人のお尻に体当たりすると、そのまま池にコロンと落ちていった。
倒れてるにいちゃんの手を引き、逃げる。後ろから悪い人の「てめえ、ぶっころしてやる」って怒ってる声が聞こえる。こわいこわいこわい……!
「あ、アルっ!? おまえ、なんで隠れてないんだよ~……!」
「だ、だって、にいちゃんがあぶなかったから~……!」
「と、とにかく、逃げ――――」
にいちゃんといっしょに逃げる。
やっぱり、助けを呼びに行かなきゃ――。
「おっ? おやおやぁ? まだ隠れてるヤツがいたのか!」
「「…………!?」」
逃げた先に悪い人がいた。
ニヤニヤ笑って、ボクらに銃を突きつけてきた。
パパパパ! と大きな音が鳴って、ボクらの周りを「ひゅんひゅん」と何かが通り過ぎて行った。こわくて、悲鳴をあげてにいちゃんに抱きつく。
にいちゃんも、ボクのことをギュッとしてくれた。
「おい! そこのガキ……!」
「あぁぁぁ……!」
「くっ……」
さっき、池に突き落とした人も来た。
カンカンに怒りながら、こっちに来てる。
も、もうダメだぁ…………。
そう思って、ギュッと目をつぶった。
その時だった。
「…………!?」
お空で「どかんっ!」と大きな音がした。
見上げると、悪い人達の空飛ぶ船がフラフラと落ちてくるところだった。
悪い人達がギョッとして、あたふたと逃げ始めた。
「や、やべえっ……!」
「この世界って、軍隊いないんじゃなかったのか!?」
「奴らだ! 交国軍だ!!」
「なんでっ、こんなド辺境に……交国軍がいるんだよォ!?」
大人でも逆らえなかった悪い人達が、慌てて逃げていく。
鉄の巨人も……機兵も慌てた様子で逃げて行こうとしたけど――。
「うわあっ!?」
「なっ、なんだぁ……!?」
逃げ始めた機兵の背中で、大きな火が弾けた。
何かがスゴい勢いで飛んできて、「ばぁん!」と弾けたみたい。
それに押されて、機兵が倒れていった。
「に、にいちゃん! あっちから何か来てる……!」
「ホントだ……! アレも……機兵ってヤツなのか……?」
悪い人達が逃げて行くのとは逆方向。
そっちから、鉄の巨人が一気にやってきた。
悪い人達の機兵に襲いかかって、ボコボコにしている。
機兵だけじゃなくて、銃を持っている悪い人達も止めている。「逃げるな」「無駄な抵抗はやめろ」と言って、大きな銃を向けている。
悪い人達は「もうダメだ」と思ったのか、やってきた鉄の巨人達の前で銃を捨て、両手を上げ始めた。降参し始めた。
悪い人達をやっつけた鉄の巨人だけじゃなくて、「バタバタ」と音を鳴らしてお空を飛ぶ
その箱から、銃を持った人達が下りてきて、悪い人達に向け始めた。
「オレ達、助かった……のか?」
「に、にいちゃん……。巨人さんから、誰か下りてくるよ……!?」
空飛ぶ箱からたくさんの人が下りてくる中、鉄の巨人からも人が下りてきた。
灰色の肌を持つ大きな人が下りてきて、ボクらに駆け寄ってきた。
「おいっ! お前ら大丈夫か!?」
「「ひぃっ!」」
こ、こわい……!
悪い人達より、ずっとこわそうな顔してる。
頭がツルツルで、顔がすっごくこわい……。
そんな人がドスドスと走ってやってきたから怖くて、にいちゃんに抱きつく。
にいちゃんも怖いみたいで、ボクにギュッと引っ付いてきた。
「俺達は交国軍所属<
「にいちゃぁん……!!」
「あ、アルに手を出したら、許さねーぞ! ばかぁっ!!」
「あっ、あれっ……? いや、俺らは助けに来ただけで……!」
灰色の肌の大きな人が、何故かボクらの前であたふたし始めた。
別の鉄の巨人から、女の人の笑い声が聞こえてきた。
『こらこら、ラート軍曹。子供を脅さないの』
「脅してませんよ!? なに言ってんスか、中尉……!」
「「わ~~~~んっ!」」
「あわわわ……! な、泣かないでくれぇ~……!!」
『あはははっ!』
「グラフェン中尉っ! 笑い事じゃないですよ!? あああああ……! ど、どーしたらっ……! だっ、誰でもいいからっ……たすけてくれぇ~……!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます