第7話

「本当にすみませんでした。」


夜10時。斗真は自分旅から帰ってきて早々、玄関で土下座をして俺に謝っている。

なんで俺は謝罪を受けているのだろう。なにか斗真が悪いことでもしたのであろうか?


「えっと、とりあえず顔を上げて俺の質問に答えて。なんでお前が謝んの?」


斗真は俺の言う通り顔を上げると彼の眉毛がハの字になっていた。益々よくわからない。


彼が俺に対してなにか悪いことをしていたとしても俺には全く身に覚えがない。むしろ、俺が斗真に謝るべきではないのだろうか?


「え、えっと、なんでと言われますと、俺が先輩に対して失礼な発言をしたからです。」

「失礼な発言?」


俺はもう迷走状態であった。なにがなんだかよくわからない。


「その失礼な発言とやらを俺にもう一度言ってみろ。相手は何がなんだかわかってないぞ。」


斗真は口をつむぎ、言った。


「先輩への愛が強すぎてその…同性婚がなんで認められないんだーとか、置き手紙だけして大事な大事な先輩を家に置き去りにしたこととか…。」


なんだそんなことか、と俺は思った。ぶっちゃけ、なんとも思っていなかった。むしろ、考えさせてくれた。


俺はかつて、異性婚が普通だと考えていた男だ。かつて、と言ったら嘘にはなってしまうが、斗真が俺の恋人になってからそこらへんの価値観は若干変わった。


「別に気にしてないよ。そんなことで…というかお前が思ってるほど俺はなにも考えてないぞ。”何も考えてない”人間ではないけどな。一般常識はわきまえている…と思いたいが。」


「ですが、流石に俺は非常識でした。先輩は許してくれたとしても俺が俺自身を許せないんです。」


「じゃあ、俺がこうしたらお前もお前のことを許すか?」


「え?」


俺は、俺らしくない行動をとった。


そう。斗真の唇を奪った。

案の定、斗真の顔はわかりやすく真っ赤だ。そんなところも、俺が好きな一面だ。


「どうだ?」

「…ふふ。はい!悩んでた自分が嘘のように生まれ変わりました!」

「それはよかったな。」


俺はもう、わかっている。


俺は、斗真のことが愛おしくて仕方ないんだな、と。

斗真と結婚して、子供はまぁ…なんとかして幸せな家庭を築くのもありなんじゃないかなって。


「斗真は…子供欲しいか?」

「い、いいいいいいいいきなりなんでしゅか?!?!!」


驚きすぎて噛んでんじゃねえか笑

ま、そんなとこも…。


「斗真、もう一回、接吻せっぷんするか?」

「なんか…言い方嫌です。受粉みたいで。」

「え。じゃあなんて言えばいい?」

「えっch」

「それ以上言うな。」

「え〜?俺まだ「え」と小さいつしか言ってませんよ〜?なに想像したんですか〜?それに…♡どうしちゃったんですか?」

「うるせえ…」

「せーんぱいっ!ベッド、行きましょうか。」

「…しゃーねーな。」

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