第6話

朝。今日は中々に重い空気が流れている…というか1人だ。


朝起きたら、斗真は一つの置き手紙を残して、いつもの外出用バッグだけを家から取っていってどこかに出かけていた。


《先輩、すみません。俺自身今なにやってるのか、なにをしたいのか検討さえついてないんですけど、俺の体が今は一人になりたいと叫んでいるので自分の気が済むまで出かけてきます。朝ご飯、申し訳ないんですけど冷蔵庫に保存してあるので起床し次第食べてください。明日までには帰ります。そして反省します。》


なにやら彼になにかが起きたらしい。でも思い当たるフシはある。


『なんで、同性婚は認められないのでしょうか。なんで、愛する人との婚約が受け入れられないのでしょうか。愛する人がただ、俺と同じ性別なだけなのに。』


世界は昔よりかは変わってきたが、完全に変わったわけではない。例えば、文化とか価値観とか。


最近の世の中では、LGBTQというのが存在する。


女性が女性を好きになるレズビアン

男性が男性を好きになるゲイ

両性(男性と女性)を好きになるバイセクシャル

体と心の性の一致が不完全なトランスジェンダー

性自認や性的指向が定まっていない、敢えて決めないクエスチョニング


だがこの5つの他にも色々なジェンダーが存在する。

それが認められないことなんてザラにある。

それに悩まされる人だってたくさんいる。


斗真もその一人なんだろうな。


「とりあえず、飯食うか。…その前に体重測っとくか。」


なんでそれに至ったか。実は最近斗真に「先輩、痩せすぎてませんか?最後に体重計乗ったのいつですか?」と聞かれてギクッとした。


いつ乗ったっけ…?


最後に鮮明に覚えているのが、小学生の時の20kg。これ以外覚えていない。流石に今の俺が20kgのはずがなく。


部屋を移動して、体重計を引っ張り出した。


「…へぇ」


55kg。これは…いいのか??一応調べてみたところ、55kgは173cmの痩せ型の体重らしい。


どちらにせよ俺は痩せているという認識であっているのだろうか。


俺は痩せたくて痩せてるわけではないのだけど…。


「飯食うか」


体重計を片付け、部屋を移動してリビングにきた。

冷蔵庫を開けると、『先輩のご飯』と書いてあった。


献立は、ひじきとごぼうとにんじんの和え物、卵焼き、焼きおにぎり2個。

中々に美味しそうなメニューだ。焼きおにぎりと卵焼きはきっと温めた方が美味しいので、電子レンジにかける。


待ち時間約3分。その間に俺は、充電してあったスマホを充電器から外して、今日のニュースとやらを見る。


え、また芸能人の結婚報告?もはや赤ん坊生まれてたのか。

この人気俳優が炎上?!

今のトレンドはこれなのか。

このダンスを踊るとバズる…んなわけあるか。

あの人気番組が放送中止?!

あの人気アニメがついにシーズン4?!


朝からとんでもない情報量だ。よくこれで俺達は頭がパンクしないよな。

勉強していたらいくらでもパンクするのに。


チンっ。


3分って意外とあっという間なんだな。


焼きおにぎりは湯気を出していて熱そうだが格別美味そうだ。

卵焼きの肌が冷蔵庫にいたときよりもキラキラしている。…何その表現。


おぼんに全て乗せて、定位置につく。


手を合わせて、


「いただきます。」

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