第15話

「ちょっと先輩!腕離してください!!」

「だめだ、ここで逃げられたらただじゃ済まねえからなぁ!!!」

「に、逃げたりしませんから!!」


斗真はそう言って俺の手から腕を振り払った。

俺は、呼吸が荒くなっていた。ついでに、興奮状態にもあった。


「ていうか、なんですか!伝えたいことって。」


俺は少し冷静になりながら、事を話した。


「…つーわけだ。すまねえな、俺が弱いから連絡もできなくて。」


斗真は俯いてなにも話さない。あぁ、このまま嫌われていくんであろうか。俺が斗真に真実を話さなかった理由。それは多分、「斗真に嫌われるのが怖かった」からなのだろう。


まあ、これで嫌われたらここまでだったってことだ。


「…でもよかったです。初めて、先輩のちゃんとした気持ちを聞けた気がします。俺、先輩に嫌われたんじゃないかって心配してたんです。だけど、そうじゃなかったって知ってホッとしてます。」


斗真は笑顔になった。だが、俺はもう一つ言わなければならないことがある。


「なあ、斗真。俺、まだお前に言えてないことがあるんだ。」


斗真はきょとんとした顔をしている。俺がを言った瞬間、この顔はどのように変化するのだろう。喜び?嬉しさ?どちらにせよポジティブな表情にはなりそうだ。斗真が俺の言葉を待っている。早く言わなければ。


「斗真。俺は、お前が好きだ。」


ついに俺は言った。斗真はポカーンとしていた。そんな一面も、今では可愛いと思える。


「え、い、いいいい今先輩、好きだって言いました!?」

「ああ。言ったよ。」

「は、初めて言われたものだから…すごく心臓がバクバクしてます…!」


それは、喜んでくれた、と解釈していいのかな。


「俺、こんな気持ち初めてだからどうすればいいのかわからないでいたんだ。だけどな、将斗が教えてくれたんだよ。俺は、お前の目の前だと『素の自分』でいられるって。だからその…これからもっと俺のことを知ってくれないか…?」

「はい!!!ぜひ!!!!」





『ふふ。新たなカップルが生誕したわね。』

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