第9話
「なあ、川上。ちょっと相談。」
「ん?お、おう。どこで。」
「食堂」
俺は川上を突然食堂まで連れ出す。
「そんなに急いでどうしたってばよ?」
「深く考えず、即答えてくれ。」
俺は勇気を振り絞り、モテ男・川上に聞く。
「お前の初体験はいつだ?」
俺がそう言うと、川上は、は?という顔をしてきたが、さすがモテ男だ、瞬時に理解をしたらしく、普通の表情に戻った。
「お前が聞いてくるなんて珍しいな。俺の初体験か…そうだなぁ…」
この思い出すのに時間がかかる感じ。なんだか自慢のように思えてきたな。腹たってきた。
「俺が覚えている限りだと、中2かな?」
「中2ぃぃ?!?!?!」
あまりにも早すぎるので思わず声を大きくしてしまった。周りの人が俺のことをちらちら見るのですみませんすみませんとペコペコしてしまった。
「お前なぁ、さすがにそれは早すぎだろ、いくらなんでも。どういう経緯でヤったんだよ?」
「俺に告ってきたやつが、『人生に一度でいいからイケメンと×××してみたい』って俺に言ったから、じゃあヤってみる?で始まった。」
「てかそいつもそいつだな。なにが人生に一度でいいからイケメンと〜…だよ。まあ、世の中顔だもんな。」
「この話してきたってことは、お前まさかヤったのか?」
俺は一瞬胸がドキッとしてしまった。まさに図星を突かれた。
俺が何も言えないでいると、川上は俺の顔を覗いて、
「あーなるほどね。ヤっちゃったのね。」
と満足げな顔で言う。
「で、なんで相談してきたんだよ?」
俺は動揺しすぎて、肝心の質問を忘れていた。
「その…後輩とヤっちまったんだが、どうすればいい?」
「…というと?」
「接し方…?」
「え、別に普通に接すればいいんじゃねえの?」
川上は何もきに食わない顔をしてそんな事を言う。
俺にとってはかなり難しいことなんだがな。
「じゃあ…後輩に聞いてみれば?」
「なにを?」
「どうやって接すればいい?って」
「お前モテすぎて頭悪なったんか?」
俺がそう言うと冗談と言わんばかりの顔をしながら川上は笑う。
「さっきのは全然冗談だけど、逆にお前が意識してたらあっちも混乱しちゃうんじゃないの?だから、お前はお前で気楽にいればいいんじゃない?」
思いもよらない返答が来た。かなり驚いたが、なぜかモテ男だからか説得力がある。
「まあ、そうだな。気楽にいるわ。ありがとう。」
キーンコーンカーンコーン
ちょうどチャイムが鳴った。少ない時間だったが川上と相談ができてよかったのかもな。
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